「コストがかかるのは、居抜き物件で開業するときだけ」
そのように考えている方はいませんか?
こちらは大きな間違いであり、居抜き売却時も、開業時と同じように一定のコストがかかります。
今回は、そんな居抜き売却にかかるコストを少しでも抑えるための方法について解説します。
居抜き売却にかかる主なコストについて
居抜き売却にかかるコストは、主に以下の通りです。
今後売却に踏み切ろうとする方は、まずこれらのコストがかかることを把握しましょう。
・仲介手数料
・承諾料
・印紙税
・所得税
・その他
仲介手数料
仲介手数料は、居抜き売買を仲介してくれる不動産会社に支払うものです。
ちなみに、仲介手数料の金額は、数万円程度のときもあれば、数十万~100万円程度のときもあり、不動産会社によってまちまちです。
承諾料
賃貸物件で行う居抜き売却では、その物件のオーナーに支払う承諾料がコストとして発生します。
こちらは、名前の通り居抜き売却を行うことをオーナーに承諾してもらうための費用であり、法律でオーナーの請求権が認められているわけではありませんが、慣行として行われることが多いです。
また、承諾料の金額については、譲渡代金の10%、賃料の2~3ヶ月分など、ある程度の目安はありますが、最終的には双方の話し合いによって決定します。
印紙税
印紙税は、買主と交わす売買契約書に印紙を貼付する際に発生します。
印紙を貼ることで、印紙税を納税したことになるため、個別に税金を納める必要はありません。
所得税
所得税は、個人事業主が居抜き売却によって造作譲渡を行った場合にかかるコストです。
譲渡価格-取得費-譲渡にかかった費用(仲介手数料など)という式で計算され、ここでいう取得費には物件の簿価、購入手数料、設備費、改良費などが含まれます。
また、造作譲渡にかかる所得税は、事業で得た他の所得と合算された上で課税されます。
ちなみに、造作譲渡は造作一式いくらという形で売却されるのが一般的ですが、税金計算では造作の1つ1つが以下のいずれかに分類され、前者についての所得は事業所得、後者についての所得は造作所得という扱いになります。
・消耗品の物品(使用可能期間が1年未満のもの)と取得時の価格が10万円未満の物品
・それ以外
その他
上記以外にも、居抜き売却にかかるコストには、以下のようなものがあります。
・店舗移転費用(新たな店舗で開業する場合)
・ハウスクリーニング代 など
居抜き売却にかかるコストを少しでも抑える方法
前述の通り、居抜き売却にかかるコストにはさまざまなものがあるため、少しでも抑えるために以下のような方法を知っておきましょう。
仲介手数料の引き下げ交渉をする
不動産会社に支払う仲介手数料を引き下げてもらえれば、多少は居抜き売却時のコストを節約できます。
もちろん、交渉すれば必ず引き下げてくれるわけではありませんが、仲介を依頼する段階で早めに交渉すれば、成功する可能性はアップします。
また、より引き下げ交渉をしやすい環境にするには、不動産会社と専属専任媒介契約または専任媒介契約を結ぶことをおすすめします。
これらの契約は、不動産会社1社のみと契約する方法であり、不動産会社は自社での仲介手数料の獲得が確実であるという点から、引き下げに応じてもらいやすくなります。
売買契約書の控えはコピーで済ませる
不動産の売買契約書は、発行すると印紙税がかかります。
そのため、売り手自身の控えは、コピーで済ませるようにしましょう。
そうすれば、少しはコストを抑えることができます。
特に、印紙税が数万円単位でかかる場合は、実践することをおすすめします。
例えば、譲渡価格が500万円を超えてしまうと、印紙税は5,000~10,000円かかります。
譲渡価格を上げる工夫をする
こちらは、正確には居抜き売却時のコストを抑える方法ではありませんが、譲渡価格を上げる工夫をすれば、必然的に手元に入る所得が増え、実質売却時のコストは削減されます。
例えば、次の入居店舗が使いやすい設備や内装であれば、居抜き物件の価値は高まります。
特に、同業種もしくは近い業種の店舗へ売却をすることにより、譲渡価格のアップが期待できます。
また、賃貸物件の場合、解約のタイミングを見極めることも、居抜き物件の譲渡価格を上げるためのポイントです。
買主を探すよりも先に解約を申し出ると、買主が決定しないまま退去日が確定してしまいます。
さらに、退去日が迫っていることを口実に、買主候補から値下げ交渉が入り、思ったような譲渡価格で売却できないことも考えられます。
そのため、すでに居抜き売却が決定している状況であったとしても、売却の目途が立つまでは、解約を申し出ないことをおすすめします。
まとめ
ここまで、居抜き売却にかかるコストと、コストを少しでも抑えるための方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
居抜き売却をする方の中には、「今すぐに売却して現金を得たい」と考えている方もいるかと思いますが、コストによって多少手元に残る金額が減ることは、事前に把握しておかなければいけません。
また、どれくらいコストがかかるのかについても、あらかじめ試算しておくことが大切です。