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居抜き物件の造作譲渡料における相場、交渉のタイミング

スケルトン状態の店舗で飲食店を開業する場合、敷金(保証金)や礼金、前家賃や内装工事費といったイニシャルコストがかかります。

また、居抜き物件の場合は、“造作譲渡料”という特殊な金銭が発生するケースもあります。

今回は、造作譲渡料の概要や相場、交渉のタイミングなどについて解説したいと思います。

目次

造作譲渡料の概要

居抜き物件に残存している内装や厨房設備、空調設備、什器といったものを、新しい借主が購入するための費用を“造作譲渡料(ぞうさくじょうとりょう)”といいます。

通常、オーナーから店舗物件を借りる場合は、オーナーと借主の間で賃貸借契約を締結しますが、居抜き物件の場合、借主は前入居者との間で、別途造作買い取りの契約も結ばなければいけません。

こちらは、前入居者から見ると、事業の一部またはすべてを他社に売却することに該当し、法律上では事業譲渡(営業譲渡)という扱いになります。

造作譲渡料の相場について

造作譲渡料の一般的な相場は、東京都内の場合で200~300万円程度であり、お世辞にも安いとは言えません。

もちろん、地方ではこれより数十万円程度相場が下がることもありますが、以下のような排気、エネルギー設備が大型化する業態では、300万円以上かかることも考えられます。

・中華料理屋
・焼肉屋
・居酒屋 など

一方で、スナックやバー、持ち帰り専門の弁当屋など、設備の小さい業態の場合、造作譲渡料は100万円にも満たないケースが多いです。

ちなみに、造作譲渡料の金額は、現物(設備)の価値だけで決定するものではありません。

当該物件が人気のエリアや好条件の立地にある場合や、広大な店舗面積を有している場合などは、それに比例して造作譲渡料も高くなります。

また、居抜き物件の売主の状況によっても、造作譲渡料は大きく変動します。

例えば、経営不振などの理由により、今すぐにでも閉店したい店舗が居抜き売却をする場合、造作譲渡料は低額でも、とにかくスピーディーに譲渡したいと考えます。

このようなケースでは、造作譲渡料が相場を大きく割り込むことも考えられます。

その他、使用年数が10年以上など、比較的長い居抜き物件の造作譲渡料も、相場を下回る可能性があります。

つまり、200~300万円程度という一般的な相場はあるものの、こちらの金額から上下する可能性は、どのような居抜き物件にもあるということです。

造作譲渡料の交渉は可能?

造作譲渡料の金額は、不動産会社等のプロフェッショナルに査定してもらい、決定することが多いです。

ただし、最終的な決定権は前入居者の売主にあるため、売主のさじ加減1つで金額はいかようにも変動します。

また、売主に決定権があるため、買主から金額交渉を行うことも可能です。

造作譲渡料の交渉に適したタイミング

条件の良い居抜き物件には、多くの買い手が集まります。

そのため、なかなか造作譲渡料の交渉は難しく、成功したとしても、他にもっと好条件で買い取ってくれる買主がいれば、そちらを優先される可能性が高いです。

ただ、店舗物件から退去する売主は、解約期日の3~6ヶ月までに、貸主に対して解約通知を出さなければいけません。

つまり、居抜き物件で造作譲渡を行う場合、売主は解約通知を出してから解約までの3~6ヶ月で買い手を探し、造作買い取りの契約を締結しなければいけないということです。

また、売主はなんとか解約までに居抜き売却を成立させたいため、解約期日が近づいてくるにつれて、少しずつ造作譲渡料を値下げする傾向にあります。

よって、居抜き物件の造作譲渡料を少しでも安くしたいのであれば、売り出し開始から数ヶ月程度経過し、値下げが始まっているタイミングを狙いましょう。

このような状況において、売主は買い手を選んでいる余裕がほとんどないことから、さらなる交渉にも応じてくれやすくなります。

ただし、立地が悪かったり、前入居者の評判が良くなかったりと、あまりにも条件が悪い物件は避けましょう。

このような居抜き物件は、たとえ造作譲渡料を抑えて入居できたとしても、開業後に苦戦する可能性が高いです。

造作買い取り契約の注意点について

決められた造作譲渡料で、設備の譲渡を行うために締結する造作買い取り契約は、内容をしっかり確認しておかなければいけません。

特に買主がチェックしておきたい内容としては、やはり譲渡対象になる設備の一覧(造作譲渡項目書)でしょう。

居抜き物件を決める際には、事前に内見することになりますが、その時点で店内にあるテーブルやイスなどの什器、各種設備や厨房機器などは、必ずしもすべて造作譲渡後に使用できるとは限りません。

造作譲渡項目書に記載されていない分に関しては、引き渡しまでに撤去されるため、注意してください。

まとめ

ここまで、居抜き物件の造作譲渡料に関することを中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

居抜き物件での飲食店開業は、イニシャルコストを抑えられる可能性が高いですが、造作譲渡料の金額は高額であるため、極力抑えなければ大きな恩恵は受けられません。

よって、前述した交渉のタイミングに関しては、必ず押さえておきましょう。

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