居抜き物件で店舗を開業する際は、当然通常の店舗同様、オーナーと賃貸借契約書を結びます。
では、このとき契約書で確認したい項目には、一体どのようなものが挙げられるのでしょうか?
具体的に解説しますので、今後の契約で見落としてしまわないよう、ぜひ参考にしてください。
居抜き物件の契約書で確認したい事項6選
居抜き物件に入居する際は、契約書を細かくチェックし、以下の項目について確認することを忘れてはいけません。
・契約開始日について
・解約方法について
・解約時の引き渡しについて
・リース契約について
・工事範囲について
・用途について
契約開始日について
居抜き物件で賃貸借契約を結ぶ際には、必ず契約開始日がいつなのかをチェックしましょう。
なぜなら、賃料は契約開始日を起点に発生するのが一般的だからです。
また、居抜き物件では、フリーレント期間が設けられていることも多いため、こちらもしっかりチェックしておきましょう。
フリーレントとは、入居後の1~3ヶ月程度の賃料を無料とする契約形態で、中には6ヶ月など長期の無料期間を設定している物件もあります。
長期間入居者が決まらなかった居抜き物件などでは、特にフリーレントが採用されている可能性は高いです。
解約方法について
居抜き物件に入居する場合は、必ず契約書に目を通し、解約方法についてもチェックしましょう。
居抜き物件だけに限らず、賃貸借契約においては、契約期間内に解約する場合、数ヶ月前など定められた時期までにその旨を伝えなければ、違約金が発生するケースもあります。
通常、こちらの違約金は、入居時に預けている保証金でカバーされることが多いですが、発生しないに越したことはありません。
よって、いつまでに解約したい旨を伝えれば違約金が発生しないのかについては、必ず把握しておきましょう。
解約時の引き渡しについて
居抜き物件で賃貸借契約を結ぶ際には、解約時の引き渡しに関するルールにも注目しましょう。
解約時の引き渡しで揉めるというケースは、居抜き物件を含む賃貸物件において非常に多いです。
基本的に、解約時には原状回復を行い、すべての内装や設備、家具などを撤去しなければいけません。
こちらは、前回居抜きで譲り受けた物件にも言えることです。
つまり、居抜きで入居した物件だからといって、次の入居者に物件を譲る際も、内装や設備を残したままにして良いとは限らないということです。
ただし、中には居抜き譲渡が認められる物件もあるため、契約書ではこれらの点を詳しくチェックします。
リース契約について
居抜き物件への入居時には、残存する設備のリース契約についても確認しておきましょう。
前入居者が厨房機器などをリース契約で使用している場合、新たに入居する方はその契約を引き継ぐことになります。
しかし、こちらの手続きは少々煩雑であるため、可能であれば前入居者にリース契約を解約してもらうことをおすすめします。
また、そのままリース契約を引き継ぐ場合は、前入居者にリース代金の未払いがないかもチェックしなければいけません。
なぜなら、未払い分がある場合、契約を引き継いだ方にその請求が来てしまうからです。
工事範囲について
居抜き物件で賃貸借契約を結ぶ際は、工事範囲に関するチェックも欠かさず行いましょう。
居抜き物件の工事には、オーナー側が行うものと入居者が行うものがありますが、すべての物件でこれらの範囲が明確にされているわけではありません。
つまり、一般的にオーナー側が行うケースの多い工事でも、契約内容によっては借主である入居者が実施しなければいけない可能性があるということです。
また、防災設備工事のように、オーナー側で工事を行うものの、費用を負担するのは入居者になるケースが多いという特殊な工事もあるため、隅々まで詳細はチェックしましょう。
ちなみに、居抜き物件の工事範囲はA工事、B工事、C工事に分かれていて、それぞれ以下のような違いがあります。
発注 | 業者の選定 | 費用負担 | |
A工事 | オーナー | オーナー | オーナー |
B工事 | 借主 | オーナー | 借主 |
C工事 | 借主 | 借主 | 借主 |
用途について
居抜き物件の賃貸借契約書では、当該物件の用途についても確認しておきましょう。
賃貸物件の用途には、飲食店やサービス店舗、物品販売店舗、事務所などがありますが、入居しようとする居抜き物件の用途が、必ずしも飲食店になっているとは限りません。
前店舗がサービス店舗の場合は、当然サービス店舗になっている可能性が高いです。
また、前店舗と開業したい店舗の用途が異なる場合は、確認申請をしなければいけないこともあるため、もし異なることがわかったのであれば、不動産会社などに手続きの相談をしてみましょう。
まとめ
ここまで、居抜き物件に入居する際、賃貸借契約書で確認したい項目を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
賃貸借契約書をくまなくチェックすることは、トラブルを防止するための基本的な行動です。
たとえチェックがおろそかになっていたとしても、入居した以上は契約内容に合意したことになるため、注意してください。