居抜き物件の中には、店舗が2階建てになっている物件もあります。
居酒屋やラーメン屋などの業態では、このような物件で経営されている店舗も多く見られます。
今回は、これから居抜き買取りを行おうとしている方に向けて、2階建ての物件のメリット・デメリットについて解説します。
2階建ての居抜き物件を買い取るメリット
2階建ての居抜き物件には、主に以下のようなメリットがあります。
・席数を増やすことができる
・2階部分だけ貸し切りにできる
・1階部分だけでも営業できる
・時間貸しすることができる
各メリットについて詳しく説明します。
席数を増やすことができる
2階建ての物件を居抜き買取りすることにより、1階部分だけの場合よりも席数を増やすことができます。
こちらは当然売上や集客数のアップにつながります。
また飲食店の2階部分は、一般的にテーブル席が設置されることが多いです。
そのため、1階部分はカウンター席だけの物件であっても、2階部分があればファミリー層などの集客が見込めます。
2階部分だけ貸し切りにできる
2階建ての居抜き物件には、2階部分だけを貸し切りにできるというメリットもあります。
例えば宴会などで団体客が訪れる場合、たとえ仕切りがあっても、話し声などが他の顧客の迷惑になる可能性があります。
しかし1階は通常の顧客フロア、2階は貸し切りフロアという風に分かれていれば、それほど問題なく営業できます。
1階部分だけでも営業できる
2階建ての居抜き物件であれば、状況に合わせて1階部分だけでも営業することができます。
例えば、2階を使用するのは混み合う昼時や夜などに限定し、空いている時間は1階のみで営業するようなパターンです。
こうすることで、リフトや2階の人員を用意する必要はなくなりますし、店舗が空いているようにも見えません。
エアコンや照明などの電気代を節約できるのもメリットです。
時間貸しすることができる
2階建ての居抜き物件を買い取る場合、2階部分は時間貸しのレンタルスペースにするなど、経営の仕方を工夫できます。
こうすれば、飲食店の暇な時間帯であっても、ある程度の売上が見込めます。
2階建ての居抜き物件を買い取るデメリット
2階建ての居抜き物件はメリットが多く、面白い特徴を持っていますが、以下のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。
・イニシャルコストが高くなる
・顧客に目が届かない
・階段の上り下りの問題
・物件数が少ない
各デメリットについて詳しく説明します。
イニシャルコストが高くなる
2階建ての居抜き物件を買い取る場合、1階建てと比べてイニシャルコストが高くなりやすいです。
なぜなら、人件費や専用の設備の造作譲渡料などが発生するからです。
2階建ての場合、まず2階部分の顧客に対応できるスタッフを確保しなければいけません。
そのため、ある程度人件費は高くなります。
また2階建ての店舗の中には、料理を移動させるためのリフト(エレベーター)が設けられているところも多いです。
こちらは非常に便利な設備ですが、取得することによって造作譲渡料は高くなるおそれがあります。
ちなみに2階建ての居抜き物件は、階段やリフトも面積に含まれるため、コストの割に有効な坪面積は減少します。
顧客に目が届かない
顧客に目が届かないという点も、2階建ての居抜き物件におけるデメリットです。
同じフロアにいれば顧客を呼びやすいのですが、フロアが分かれてしまうと従業員の目が届かず、顧客を困らせることになります。
また2階部分で迷惑行為などが行われている場合、その発見が遅れることも考えられます。
そのため2階建ての居抜き物件を買い取る場合は、呼出ボタンを導入したり、1階部分にモニターを設置したりすることが望ましいです。
階段の上り下りの問題
階段の上り下りの問題は、2階建ての居抜き物件において必ずと言って良いほど発生します。
顧客にとって階段の上り下りは当然苦痛ですし、従業員も行き来するため、どうしても不満になります。
また顧客を席に案内するとき、料理を運ぶときなどには、どうしても動線が絡んでしまうため、思うように2フロアの行き来ができないことも考えられます。
物件数が少ない
2階建ての居抜き物件は、1階建ての物件と比べると数が少ないです。
そのため、買主の希望にピッタリ当てはまる物件については、なかなか見つからないかもしれません。
例えば物件の広さや間取りが良くても、エリアが少し都市部から離れていたり、逆に好立地でも歪な間取りになっていたりというケースがあります。
まとめ
2階建ての物件で居抜き買取りをする場合、単純に席数は増やせますし、1階建ての物件よりも柔軟な店舗経営ができる可能性があります。
一方、居抜き物件の大きなメリットであるイニシャルコストの安さについては、あまり恩恵が得られないことも考えられます。
また営業時にはさまざまな問題が生じ得るため、買い取りを検討する方はなるべく内見に多くの時間を費やすようにしましょう。