飲食店の居抜き買取りを行う場合、多くの方はまず開業コストを削減することを考えます。
またコストを減らしつつ、可能な限り良い立地で開業したいと考えますが、実際そううまくはいきません。
では、立地が悪い居抜き物件にメリットはあるのでしょうか?
今回は主なメリットとデメリットをあわせて解説します。
立地が悪い居抜き物件のメリット
立地が悪い居抜き物件には、以下のようなメリットがあります。
・取得費が安い
・保証人がいらないケースがある
・看板の設置費用が安い
・競合店が少ない
各メリットについて詳しく説明します。
取得費が安い
立地が悪い居抜き物件は、基本的に取得費が安いです。
居抜き買取り時に発生する保証金や敷金については、一等地の場合月の賃料の10ヶ月分を要求されることもあります。
一方、立地が良くない場合は2ヶ月程度で済むケースも多く、大幅にイニシャルコストを抑えられます。
また居抜き物件の場合、売主との間に造作譲渡金も発生します。
一等地では造作譲渡金の金額が500~600万円程度、高ければ1,000万円程度になることも珍しくありませんが、立地が悪い場合は基本的に割安です。
中には造作譲渡金が一切発生しない居抜き物件もあります。
保証人がいらないケースがある
立地が悪い居抜き物件では、保証人を用意する必要がないこともあります。
都心部などの一等地では、自身よりも経済的な余裕がある方を保証人として用意しなければいけないケースが多いです。
これに対し立地が悪い居抜き物件では、そこまで保証人に関する厳しいルールが設けられていません。
また家賃保証会社を利用できる可能性も高いため、賃料1ヶ月分などの利用料を支払えば、信頼できる保証人がいなくても問題なく取得できます。
看板の設置費用が安い
看板の設置費用が安いという点も、立地が悪い居抜き物件のメリットです。
一等地の場合、周辺には他にも多くの飲食店が建ち並んでいるため、自身の店舗を目立たせるためにコストがかかります。
例えば主要国道沿いなどには、大きな看板を掲げている店舗が並んでいますが、こちらを設置するだけで何百万といった費用が発生します。
立地が悪い居抜き物件でも、遠くから認識するための看板は設置しなければいけませんが、必要な費用は一等地の比ではありません。
競合店が少ない
競合店が少ないのも、立地が悪い居抜き物件の大きな強みです。
駅前や繁華街など立地の良い場所には、多くの飲食店が集まります。
そのため競争が激しくなり、顧客の取り合いになるケースも少なくありません。
しかし立地が悪い物件は競合店が少なく、自店舗の独自性を活かしやすくなります。
特に地域のニーズに合ったコンセプトやメニューを提供すれば、他店との差別化やリピーターの獲得につながります。
立地が悪い居抜き物件のデメリット
たとえ立地が悪くても、工夫次第ではその物件のメリットを活かすことができます。
ただし、立地が悪い物件には以下のようなデメリットがあるため、注意してください。
・新規顧客を獲得しづらい
・リピーターを獲得しづらい
・大人数での来客はあまり見込めない
各デメリットについて詳しく説明します。
新規顧客を獲得しづらい
立地が悪い居抜き物件では、なかなか新規顧客を獲得できません。
こちらは物件の視認性が良くないことが理由です。
飲食店は「今すぐ空腹を満たしたい」「仕事の合間に休憩したい」といった飛び込み客の割合が多い業態です。
しかし店舗の視認性が良くなければ、新規の飛び込み客は獲得しづらくなります。
また顧客が事前にネットで情報収集をしていても、実際に探して店舗の場所がわかりにくければ、顧客は途中で来店を諦める可能性があります。
リピーターを獲得しづらい
立地が悪い居抜き物件は、新規顧客だけでなくリピーターも獲得しづらいです。
なぜなら、再来店のハードルが高いからです。
アクセスが良ければ「前に行ったあのお店、そういえば美味しかったから行ってみよう」となりますが、アクセスが悪ければ簡単には来店できません。
大人数での来客はあまり見込めない
大人数での来客があまり見込めないという点も、立地が悪い居抜き物件のデメリットです。
例えば職場の宴会や友人同士の飲み会など、大人数で集まるケースでは、オフィス街や繁華街、駅前といった立地の店舗が選ばれがちです。
一つのコミュニティが集まる場として、住宅街や郊外などの飲食店が選ばれるケースは少なく、大人数での来客はあまり期待できません。
そのため、立地が良くない居抜き物件を買い取る場合、その地域住民の来客を多く獲得することがポイントになります。
まとめ
居抜き物件の中には、お世辞にも好立地とは言えない物件が多くあります。
なぜなら、好立地の物件は売上をキープしやすく、手放す必要がないからです。
ただし、立地が悪いからといって居抜き買取りを諦める必要はありません。
たとえ好立地でなかったとしても、コストを抑えながらしっかり経営戦略を立てれば、開業から良いスタートを切れる可能性はあります。