飲食店は非常に競争が激しい業種であり、同じ業態の店舗がひしめく激戦区も存在します。
競争に勝てないケースも多く、開業から1年も経たずに閉店している飲食店も数多くあります。
では泣く泣く飲食店を閉店し、居抜き売却を行う場合、一体どのタイミングで検討すれば良いのでしょうか?
飲食店の居抜き売却を検討するタイミング5選
以下のケースに該当する場合、飲食店を閉店し、居抜き売却を検討すべきだと言えます。
・固定客の減少やメイン顧客層の変化
・人気メニューの注文減少
・経営資金の枯渇
・慢性的な人材不足
・後継者がいない
各項目について詳しく説明します。
固定客の減少やメイン顧客層の変化
これまで頻繁に訪れていた固定客が減少したり、メインの顧客層が変わったりしている場合、飲食店は閉店や居抜き売却を検討すべきです。
このような状況の飲食店は、すでに売上や客単価にも大きな影響が出ているでしょう。
そのまま経営を続けていても、緩やかに売上が低下していく可能性は高いです。
また固定客の減少やメイン顧客層の変化は、店舗のセールスポイントがターゲットからずれていることや、社会的なブームが過ぎていることなどが原因で起こります。
まだ売上回復の見込みがあれば良いですが、固定客がゼロになった場合、一人も顧客が訪れない日がある場合などは、居抜き売却を決断すべきだと言えます。
人気メニューの注文減少
これまで人気だったメニューの注文数が減少している場合も、閉店や居抜き売却を検討するタイミングだと言えます。
人気メニューは、その飲食店の経営を支える大きな柱です。
しかし人気だからといって、他のメニューのバリエーションを増やさないのは良くありません。
メニューが一辺倒だと、どうしても選択の余地が少ないため、出足は良くとも徐々に注文数は減少します。
そのため、こだわりがあるからと一つの料理に固執せず、冷静に売れ筋の料理が飽きられている理由を考えてみましょう。
もし路線変更が難しいのであれば、閉店や居抜き売却も考えなければいけません。
ちなみに、顧客と店舗のニーズが合致する場所で、新たに飲食店を開業するという手もあります。
経営資金の枯渇
飲食店の経営資金が枯渇し、今にも底をつきそうな場合も、閉店や居抜き売却を検討すべきだと言えます。
飲食店の閉店はすぐにできるものではなく、決断してから最低でも3ヶ月間は賃料を支払い続けなければいけません。
テナントの場合、解約予告通知は退去の3~8ヶ月前にはしておかなければいけないケースがほとんどです。
また居抜き売却の場合、買い手探しや物件のオーナーとの交渉なども行うため、さらに閉店までの期間は長くなってしまいます。
つまり、経営資金が尽きたタイミングで閉店しようと考えていると、借金をしてでも店舗を開け続けなければいけなくなるということです。
そのため飲食店を経営する方は、賃貸契約書を確認し、解約予告期間をチェックしましょう。
そこから逆算し、何ヶ月までは踏ん張れるのかを見極めてみてください。
慢性的な人材不足
飲食店において慢性的な人材不足が起こっている場合も、居抜き売却を伴う閉店を検討すべきです。
なぜなら、人手不足の場合は経営者の方が身体を壊す可能性が高いからです。
非正規雇用の人材が多いこともあり、人材の確保は飲食業界における大きな課題になっています。
慢性的な人材不足により、従業員一人に十分な教育や研修を実施できていない店舗も数多くあります。
また従業員の育成が不十分だと、サービスの質の低下につながりますし、労働環境が悪化して一人あたりの業務負担が増加すれば、サービスの質改善は難しいです。
さらに家族経営の飲食店では、従業員が体調不良になると、欠員を簡単に補充することが難しいです。
代わりが見つからず、ずっと経営者の方が働き詰めになることもあります。
いずれのケースも、経営者の方の負担が大きくなることには変わりないため、身体を壊してしまう前に閉店や居抜き売却を決断すべきです。
後継者がいない
経営者の方の体調に問題がなくても、高齢になれば徐々に負担は大きくなってくるものです。
また経営者の方が高齢にもかかわらず、後継者が見つかっていないという場合は、店舗の閉店と居抜き売却を検討しましょう。
個人経営の飲食店では、経営者の子どもや配偶者、親戚を後継者とするケースが多いですが、必ずしも身内が後継者を引き受けるとは限りません。
また従業員を後継者とするケースもありますが、慢性的な人材不足ではこのような方法も叶いません。
そのため、経営者の方が健康なうちに店舗を居抜き売却し、老後資金を確保することも検討しましょう。
まとめ
飲食店の閉店や居抜き売却は、赤字経営のときだけに行われるとは限りません。
黒字経営であっても、飲食店の内情によっては閉店・売却を検討しなければいけないことがあります。
また居抜き売却の場合、タイミングが遅れると建物や設備の老朽化などが起こり、買い手が見つかりにくくなることが考えられます。
そのため、常にタイミングは意識しておかなければいけません。