居抜き買取りは、主に飲食店の開業時によく利用される方法です。
また飲食店にはさまざまな種類がありますが、大きく重飲食と軽飲食の2つに分けられます。
このうち重飲食は、特に注意すべき点が多いです。
今回は、重飲食の店舗を居抜き買取りで開業する際の注意点を解説します。
重飲食とは?
重飲食とは、厨房を備えて本格的な治療を行うことから、煙やニオイが多く発生する飲食業態のことを指します。
具体的には、たくさんの火や油を使用する中華料理屋や焼肉屋、居酒屋や鉄板焼き屋などが該当します。
一方、軽飲食は本格的な調理を伴わず、酒やコーヒーなどの飲み物を主として提供することを目的とした業態です。
食べ物についてはまったく提供しないか、もしくは乾き物やサンドウィッチなどの軽食、温めるだけで提供できるものを取り扱うことが多いです。
ちなみに軽飲食には、カフェやバー、スナックなどが該当します。
重飲食の居抜き買取りにおける注意点
重飲食の店舗を居抜き買取りする場合は、以下の点に注意する必要があります。
・必要な設備の揃った物件が少ない
・オーナーの許可が下りないことがある
・見えない部分の汚れがひどい場合がある
・近隣トラブルが起こりやすい
各項目について詳しく説明します。
必要な設備の揃った物件が少ない
重飲食の居抜き買取りを行う場合、なかなか必要な設備の揃った物件が見つからない場合があります。
重飲食の店舗を開業するには、煙やニオイを十分に逃がすための大がかりな排気・排煙設備が必要です。
また厨房設備もある程度充実させなければいけませんし、使用する電力が大きくなるため、インフラ設備も必須です。
そのため、居抜き買取りを行う場合、基本的には以前も重飲食の店舗を経営していた物件を選ぶことになります。
ただし、前店舗が重飲食であっても、すべての設備が揃っているとは限りません。
また足りない分は工事で補う必要がありますが、重飲食の設備導入や内装・外装工事については、軽飲食よりも工期が延びやすいです。
場合によっては、居抜き物件の“開業までの期間が短い”というメリットが薄れてしまうことも考えられます。
オーナーの許可が下りないことがある
重飲食の居抜き買取りでは、物件オーナーによる開業許可が下りない可能性があります。
なぜなら、重飲食はオーナーにとってメリットの少ない業態だからです。
重飲食の店舗は煙やニオイ、油などの影響を受けやすいため、当然建物の劣化も早めます。
多くのオーナーは、物件を長く使用したいと考えるため、このような業態は敬遠されやすいです。
また前店舗が重飲食だったとしても、次の居抜き買取りで重飲食が認められるとは限りません。
「これ以上は物件の劣化が激しくなるから許可しない」と言われてしまった場合、買主は別の物件を探すことになります。
見えない部分の汚れがひどい場合がある
前店舗が重飲食の店舗だった物件を選ぶ場合、見えない部分の汚れがひどい場合があります。
通常居抜き売買では、売主がある程度物件内を清掃し、キレイな状態で買主に物件や設備を引き渡します。
しかし、重飲食における長年積み重なった汚れは簡単に落ちません。
ダクトやグリストラップなど、しっかり確認しないと見えない部分に汚れが残っていたり、詰まっていたりするおそれがあります。
そのため内見時には、特に厨房周りの設備を隅々までチェックしなければいけません。
売主が清掃を行っている場合は清掃証明書を用意してもらい、清掃内容や日時などについても細かく確認しましょう。
清掃したのが最近ではない場合、そこから今日までにまた汚れが蓄積しているかもしれません。
近隣トラブルが起こりやすい
重飲食の居抜き買取りでは、オーナーの許可が下りて開業に成功したとしても、近隣トラブルが起こる可能性が高いです。
何度も言うように、重飲食は煙やニオイが出やすい業態です。
そのため、周囲が住宅街などの場合は、クレームが入りやすくなります。
オーナーの中には、こちらのクレーム対応が大変なことから、重飲食の営業を許可しない方もいるくらいです。
特に店舗の上層階が居住用物件になっている場合などは、よりトラブルの可能性が高まります。
重飲食の居抜き買取りではセントラルキッチンの活用も検討すべき
重飲食の店舗では、やはり煙やニオイが大きな問題になりやすいです。
そのため居抜き買取りを行う際は、セントラルキッチンの導入も検討しましょう。
セントラルキッチンは、店舗以外の場所で調理を委託するスペースです。
こちらを導入すれば、店舗ではそれほど本格的な治療をする必要がなくなります。
またセントラルキッチンはチェーン店しか利用できないと思われがちですが、最近は個人店からの委託が可能なケースも増えています。
まとめ
重飲食の居抜き買取りでは、理想の物件を見つけるのが難しいです。
場合によっては、1つの物件に多くの開業希望者が殺到するというケースもあります。
そのため、物件探しでは迅速なチェックと決断が求められます。
またオーナーから開業許可が下りたとしても、開業後には煙やニオイに関する対策を継続しなければいけません。
