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飲食店の居抜き物件における減価償却の対象物について

飲食店の居抜き物件を購入する場合、さまざまな費用がかかります。

これらの費用は、買主の方にとって大きな負担となりますが、“減価償却”を実施すればその負担は軽減されます。

今回は、飲食店の居抜き物件における減価償却の概要、対象物などについて、詳しく解説したいと思います。

目次

減価償却の概要

居抜き物件を購入すると、買主は経年劣化を伴う高価な資産を多く取得することになります。

こちらの資産が、長期にわたって使用するものである場合、それぞれ定められた年数に応じて分割し、会計処理することができます。

こちらが“減価償却”です。

例えば、飲食店の居抜き物件を購入し、200万円の厨房機器を取得したとしましょう。

こちらの厨房機器は、基本的には故障するまでその店舗で使用し続けます。

しかし、こちらの購入費用を、購入年にすべて経費として計上すると、経理上における問題が生じます。

つまり、今後も長期にわたって使用する厨房機器の費用を、なぜ購入年にのみ経費として計上するのかという問題が出てくるわけです。

減価償却は、このような問題をカバーする仕組みであり、長年使用することを前提に購入した資産に関しては、こちらを使用する年数に応じて、毎年少しずつ購入費用を経費として計上していくことが可能です。

飲食店の居抜き物件における減価償却の対象資産

飲食店の居抜き物件における減価償却の対象となる資産は、主に以下の通りです。

・応接セット(接客業用のもの)
・冷房、暖房用機器
・電気、ガス機器
・食器、厨房用品(陶磁器、ガラス製のもの)
・食器、厨房用品(その他のもの) など

また、これらの対象資産には、問題なく使用できると判断される年数というものが設定されています。

こちらは“法定耐用年数”と呼ばれるもので、資産によってバラバラに設定されているため、居抜き物件購入時には、それぞれが何年使用できるのかを把握しておかなければいけません。

ちなみに、前述の減価償却対象資産における法定耐用年数は、それぞれ以下の通りです。

・応接セット(接客業用のもの):5年
・冷房、暖房用機器:6年
・電気、ガス機器:6年
・食器、厨房用品(陶磁器、ガラス製のもの):2年
・食器、厨房用品(その他のもの):5年

意外な減価償却の対象資産

飲食店の居抜き物件における減価償却の対象は、設備だけだと思っている方もいるかと思いますが、実際はそうとは限りません。

例えば、居抜きにより、店舗に設置されている時計を取得した場合は、こちらも減価償却の対象となります。

法定耐用年数は10年で、居抜き物件購入時に手に入るものとしては比較的長いです。

もちろん、大がかりな厨房機器などと比べると、それほど金額は大きくありませんが、少しでも減価償却で経費を計上したいという方は、こういった細かい対象資産を頭に入れておくことをおすすめします。

飲食店の居抜き物件における減価償却の対象にならないもの

飲食店の居抜き物件における減価償却は、高価な資産であればすべてが対象になるというわけではありません。

経年劣化を伴うものでなければ、減価償却することはできないため、注意しましょう。

例えば、以下のような資産については、減価償却ではなく、資産として計上するか、売却するかのいずれかで処理することになります。

・土地の借地権
・絵画、壷などの古物品(店内に飾るもの)
・電話加入権 など

減価償却の計上方法

前述した対象資産について、飲食店の居抜き物件購入時に減価償却をする際には、“定額法”または“定率法”のいずれかで計算を行います。

定額法は、同じ額を費用として計上し続ける方法であり、定率法は購入年に大きな金額を計上し、年々その額を減らしていくという計算方法です。

ちなみに、これらの計算式は異なりますが、どちらを選択した場合でも、最終的に支払うべき減価償却費、対象資産の耐用年数に関しては違いがありません。

飲食店の居抜き物件における減価償却の注意点

飲食店の居抜き物件における減価償却では、すでに対象資産の法定耐用年数が数年経過していることがあります。

例えば、法定耐用年数が10年の設備が、前オーナーに2年間使用されていたという場合、取得した時点での法定耐用年数は8年になります。

このような資産については、すでに経過した年数を差し引いた法定耐用年数で、減価償却費を計算しなければいけません。

また、居抜き物件では、売主に対し、設備ごとに詳細を提示してもらわない限り、どの設備がどれくらいの法定耐用年数を経過しているのかが把握できません。

設備の詳細がわかる書類がない場合、買主はその設備のもっとも長い法定耐用年数を適用しなければいけなくなるため、売主からは必ず詳細が記載された譲渡目録を受け取りましょう。

まとめ

飲食店の居抜き物件における減価償却は、慣れていない方からすると非常にルールが複雑です。

ただ、こちらをいかに適切に実施できるかによって、節税効果やキャッシュフローには大きな違いが出てくるため、ポイントはあらかじめ押さえておきましょう。

また、減価償却を実施する際には、売主や不動産会社の協力を得ることも忘れてはいけません。

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