居抜き物件の工事は、当然内装工事のみを指すものではありません。
外壁の塗装も、重要な工事の1つです。
今回は、これから居抜き物件の外壁塗装をしようと考えている方に向けて、使用可能な各塗料の特徴について解説したいと思います。
ぜひ参考にしていただいて、自身にピッタリのものを見つけてください。
アクリル塗料
アクリル樹脂を主成分とする塗料のことをアクリル塗料といいます。
ほとんどのアクリル塗料は1液型となっているため、あまり外壁塗装の知識がない方でも扱いやすいのが特徴です。
また、発色が良く、色のバリエーションも豊富な上に、1,200~1800円/㎡程度と費用が安価なところも魅力です。
ただし、紫外線に弱いため、塗装してから数年程度で光沢が失われ、変色や褐色が目立つようになります。
つまり、イニシャルコストは安いものの、ランニングコストは比較的かかりやすいということです。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、ウレタン系樹脂を主成分とした塗料です。
特有の光沢ある塗膜は、居抜き物件の外観に高級感をもたらしてくれます。
また、柔らかくとても扱いやすい塗料であるため、建物に揺れなどの負荷がかかっても、クラック(ひび割れ)はほとんど発生しません。
耐薬品性も高いため、工場が近いエリアの居抜き物件等にはおすすめです。
しかし、塗料の平均耐用年数が10年と言われている中で、ウレタン塗料の耐用年数は6~8年程度しかありません。
もっと言えば、アクリル塗料と同じく紫外線には弱く、その他防汚性や光沢保持率、湿気にも強さはないため、特定の箇所のみ修繕したい場合等に用いることをおすすめします。
シリコン塗料
樹脂の主成分にシリコンを使用した塗料がシリコン塗料です。
居抜き物件の外壁塗料としてはもっともスタンダードなものであり、それほど費用が高くない上に、耐用年数は10~15年と比較的長いです。
また、600℃前後でも耐えられる耐熱性と、塗膜が固いことによる撥水性、酸性雨や強風にも耐えられる耐候性を兼ね備えています。
迷ったときに選べば、失敗は少ない塗料だと言えるでしょう。
ただし、クラックは比較的発生しやすい傾向にあり、1液型は使いやすい反面、少し密着性に弱いです。
フッ素塗料
塗料の主成分が合成樹脂で、その中にフッ素が含まれている塗料をフッ素塗料といいます。
外壁にしっかりと密着する性質を持ち、耐用年数は12~15年と非常に長いです。
また、耐熱性や防カビ・防藻性、水と密着する親水性にも優れているため、居抜き物件の安全性や景観を大事にしたい方にはピッタリの外壁塗料です。
しかし、フッ素塗料には、費用が高いという大きなデメリットがあります。
また、一度フッ素塗料を塗装すると、その結合力の強さにより、次の塗装をする際に特別な下塗りをしなければいけなくなるため、かなり費用はかかりやすくなってしまいます。
ラジカル塗料
ラジカルとは、酸素や紫外線、水等が顔料に接触することで発生する劣化因子をいい、こちらの発生を可能な限り抑えてくれるのがラジカル塗料です。
安価であるにも関わらず性能は高く、外壁に白い粉が付着するチョーキング現象もあまり発生しません。
また、汚れも付着しにくく、1液型塗料なら作業性が高いため、手間なく簡単に施工できます。
ただし、ラジカル塗料は発売からまだ数年しか経っていないため、積極的に取り扱っている業者が少ないです。
そのため、選択肢はある程度限られてくることが予想されます。
セラミック塗料
陶器や天然石等を細かく砕き、樹脂と配合した塗料をセラミック塗料といいます。
陶器や石が入っているため、見た目は御影石のようなデザイン性の高いものになり、重厚感や高級感を出すこともできます。
また、塗料表面に無機質のセラミックが広がることで、親水性が高まるため、雨が降ればほとんど汚れは落ちます。
その他、遮熱性や断熱性にも優れています。
しかし、塗膜が固いがゆえにクラックは発生しやすく、セラミックの結晶は白色のため、どうしても濃い色は出すことができません。
そして、塗装前には撹拌機を使い、十分に攪拌する必要があるため、決して塗装しやすい塗料とは言えません。
光触媒塗料
光触媒塗料は、次世代塗料として登場した最新の塗料です。
太陽の光で汚れを分解し、雨で汚れを落とすことができる優れもので、さらに空気を浄化する機能も併せ持つため、環境問題にも貢献してくれます。
また、耐用年数は20年と非常に長く、カビや藻、熱にも強いという特徴を持っています。
ただし、塗装の平米単価は3,400~3,700円と非常に高いのが欠点です。
もっと言えば、無機質系(土砂等)の汚れは分解できず、そもそも雨風が当たりにくい箇所に関しては、自然に汚れを洗い流すことができません。
まとめ
ここまで、居抜き物件の外壁塗装に使用できる主な塗料について解説しましたが、気になるものはありましたか?
居抜き物件の外壁は、出入口や室内よりも先に目に付く箇所です。
そのため、機能と予算の兼ね合いを見ながら、塗料を慎重に選択し、なるべく来客にとって魅力的な状態を保てるように工夫しなければいけません。
もちろん、開業後の定期的なメンテナンスも必須です。