初めて居抜きで飲食店を売却する方は、細かい疑問をいくつも抱えていることでしょう。
また、このような疑問は、実際物件を売り出す前に解決し、トラブルの発生防止につなげることが望ましいです。
今回は、居抜きでの店舗売却に関するいくつかの素朴な疑問にお答えしたいと思います。
居抜き売却時の清掃はどれくらい行えば良いのか?
居抜き物件を売却する際、当然売主は清掃を行った上で、買主に物件を引き渡します。
しかし、このときの清掃をどれくらいのレベルで行えば良いのかについては、悩む方もいるでしょう。
トラブルを起こさないようにするためには、清掃の程度について、事前に買主と話し合っておくことをおすすめします。
双方の認識をすり合わせておくことで、スムーズに引き渡しが完了する可能性は高いです。
一般的には、“通常の清掃と比べて少し丁寧に、細かく”というイメージで清掃を行えば、買主から大きなクレームが出ることはありません。
ただし、排水管やグリストラップなどの清掃に関しては、売主自身ではなく、専門業者に依頼して行った方が良いでしょう。
居抜き売却時、貸主には手数料を支払わなければいけないのか?
貸主から借りている物件を居抜き売却する際には、ごく稀に手数料を支払わなければいけないことがあります。
こちらは、造作譲渡を認める代わりに請求される承諾料です。
金額に関しては、“売却金額の〇%”、“賃料の〇ヶ月分”といったものになるケースが多いですが、物件によって条件はさまざまです。
賃貸借契約書には、居抜き売却に関する条項が含まれていることもあるため、実施する際はまず契約書の内容を確認しましょう。
貸主に知られずに居抜きの買い手を募集することはできるのか?
居抜きで物件売却を行う場合は、原則貸主や管理会社の許可を取らなければいけません。
無許可で進めてしまった場合、賃貸借契約の規則違反となったり、買主との交渉でトラブルになったりするため、注意しましょう。
造作を売却し、利益を得ることができるのが居抜き売却の良いところですが、物件そのものは売主のものではありませんので、必ず所有者である貸主の許可は取らなければいけないことを覚えておいてください。
売買成立後のクレーム、トラブルにはどのようなものがある?
居抜きでの売買が成立した後でも、買主からクレームが来たり、トラブルが発生したりする可能性はあります。
しかし、このようなクレームやトラブルの内容は、「物件の状況が事前の約束と違う」「ゴミ類が廃棄されていない」といった、事前の打ち合わせを徹底すれば防げるものばかりです。
また、稀に貸主が所有する建物そのものに不備が見つかるケースもありますが、こちらの対処に関しては、なかなか売主と買主だけで判断するのが難しいです。
よって、建物の引き渡し時の状況についても、事前に双方で確認し、決定しておくことが望ましいです。
店舗設備が家庭用のものばかりでも居抜き売却はできるのか?
カフェやバーといった軽飲食業態の場合、厨房設備が少なかったり、ほとんどの設備が家庭用のものだったりすることがあります。
このような場合でも、買主さえ見つかれば、居抜き売却をすることは可能です。
しかし、設備が充実していない分、売却金額が高額になる可能性は低いため、あらかじめ留意しておきましょう。
ちなみに、家庭用の設備であっても、エスプレッソマシンなど高級な設備を備えている場合は、多少売却金額が高くなる可能性もあります。
来客に知られずに居抜き売却をすることは可能か?
不動産会社に相談すれば、常連の来客などに知られないよう、工夫を凝らして居抜きでの物件売り出しを行うことは可能です(住所を隠すなど)。
しかし、ネット社会である昨今では、内観写真やわずかな情報からでも、店舗情報が特定される可能性があります。
よって、100%誰にも知られずに買主を募集するということは、基本的には難しいと考えておきましょう。
ちなみに、不動産会社に広告を掲載してもらう際には、誰にも知られずに売り出すのが難しい旨について、売主が了承しなければいけないケースもあります。
店舗の引き渡し時、各種インフラは止めたままで良いのか?
居抜き売却が決定し、店舗を引き渡す際、電気に関しては止めないことをおすすめします。
なぜなら、コールドテーブルや冷蔵庫といった設備は、通電状態にしておくことで、急な電源オン・オフによる機器トラブルを避けられるからです。
また、電気のみ止めずに引き渡す場合、事前に買主や電力会社と相談し、停止期間を設けず、契約が切り替わるようにしておきましょう。
ちなみに、水道やガスに関しては、引き渡し日に契約が切れるようにしておいて構いません。
まとめ
ここまで、居抜き売却に関する素朴な疑問にお答えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
初めて居抜き売却を行う際には、まだまだ他にも多くの疑問を抱くことでしょう。
また、判断に迷う選択をしなければいけないときも来るかと思います。
そのような場合には、一人で抱え込まず、すぐ信頼できる不動産会社に相談してください。