居抜き物件には、イニシャルコストを抑えられるだけでなく、設備や内装が残っているため、スムーズに開店できるというメリットもあります。
しかし、スムーズに開店できるからといって、物件のチェックをおろそかにしてはいけません。
今回は、居抜き物件を選ぶ際に確認しておきたいポイントをいくつか解説します。
設備面のチェックポイント4選
居抜き物件を選ぶ方のほとんどは、残っている設備をそのまま活用し、飲食店の開業をしたいと考えます。
よって、以下の設備面のチェックポイントは必ず押さえておきましょう。
・厨房機器
・厨房区画
・水道、ガス、電気、排気設備のスペック
・リース機器の有無
厨房機器
居抜き物件の前入居者が、何十年もの間店舗を経営し続けていたような場合、もし厨房機器が残っていたとしても、かなり劣化している可能性があります。
よって、内見の際には各機器の動作確認を行い、可能であればいつ頃導入したものなのかについても確認しましょう。
厨房区画
厨房の天井裏や床下には、さまざまな配管がめぐっているため、区画をそのまま利用できるかどうかで、内装工事費が大きく変わってきます。
一切厨房区画に手を加えず、そのまま使えるような居抜き物件は、イニシャルコストをさらに減らすことができるため、おすすめです。
水道、ガス、電気、排気設備のスペック
飲食店を経営するにあたって、水道やガス、電気や排気などに関する設備は欠かせません。
また、これらが自身の店舗に十分なスペックを有していれば、開店までにかかる費用はさらに安くなります。
ちなみに、軽飲食の居抜き物件で重飲食の店舗を開店したい場合などは、前述のインフラ設備の容量が足りず、工事費用がかかりやすくなるため、注意が必要です。
リース機器の有無
たとえ設備が残っている居抜き物件であっても、それらの設備がリース機器の場合、所有物とすることはできません。
よって、できるだけ前入居者が購入した設備の揃った物件を選ぶべきです。
周辺環境のチェックポイント3選
続いては、居抜き物件を選ぶ際にチェックしたい、周辺環境におけるポイントを見ていきましょう。
具体的には、以下のようなポイントです。
・競合店の有無
・通行人の層
・最寄り駅
競合店の有無
居抜き物件を選ぶ際は、必ず周辺に競合店があるかどうかを確認しなければいけません。
具体的には、周辺エリアにおいて、自身が開店しようとする店舗と似たコンセプトの店舗がどれくらいあるのか、それらの店舗の席数、空席状態はどうなのかといったチェックです。
このとき注意したいのが、“競合店=同業態”とは限らないという点です。
まったく異なる業態であっても、同じような価格帯で、なおかつターゲットの層が近い店舗は、競合店として詳細を確認すべきです。
通行人の層
居抜き物件の前を通る通行人の層についても、事前にリサーチすることをおすすめします。
もちろん、たくさんの人が前を通過する物件の方が、潜在的な客数は多いと判断できますが、その方々が全員来店してくれるわけではありません。
よって、大事なのは数ではなく、あくまで層だと考えておきましょう。
例えば、若い男性をターゲットにしたい場合、人通りは多いが女性が大半を占めているエリアの物件よりも、人通りは少なめだが若い男性が多いエリアの物件の方が適していると言えます。
最寄り駅
駅の近くにある居抜き物件は、集客がしやすいというイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。
チェックすべきなのは、駅の近さではなく“乗降客数”です。
例えば、最寄り駅を出て正面にあるような物件であっても、駅の乗降客数が少ない場合、お世辞にも集客しやすいとは言えません。
その他のチェックポイント
設備面や周辺環境以外のチェックポイントとしては、主に以下が挙げられます。
・前入居者の退去理由
・原状回復の範囲
前入居者の退去理由
居抜き物件を選ぶ前に、その物件の前入居者がなぜ退去したのかについては、必ず確認しておきましょう。
特に、外観や内装の状態が良く、設備も多く残っているような場合は、注意が必要です。
このような優良物件の場合、内見ではなかなか把握できない問題やトラブルなどを抱え、それが原因で前入居者が退去している可能性もあります。
原状回復の範囲
居抜き物件選びでは、契約内容のチェックも忘れてはいけません。
特にチェックしたいポイントとしては、原状回復の範囲が挙げられます。
設備が残った状態で居抜き物件に入居したからといって、自身が退去する際、必ずしも同じように現況のまま退去できるとは限りません。
スケルトン状態にする義務のある物件は、退去費用がかかりやすくなるため、注意してください。
まとめ
ここまで、居抜き物件を選ぶ際に確認したい設備面、周辺確認などのポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
問題なく使用できる設備や内装、集客しやすい周辺環境などが揃った居抜き物件を選ぶことで、飲食店の経営に成功する可能性はアップします。
逆に、一目惚れのような形で物件を決定してしまうと、後々後悔する可能性が高いため、気を付けましょう。