居抜き物件での飲食店開業には、当然ながらある程度のコストがかかります。
また、このときに意識しなければいけないコストは、大きく“イニシャルコスト”と“ランニングコスト”の2つに分かれます。
今回は、イニシャルコストとランニングコストの違いについて詳しく解説したいと思います。
イニシャルコストの概要
居抜き開業時にかかるイニシャルコストとは、店舗の企画段階から設立など、実際のオペレーションが開始するまでに必要なコストのことをいいます。
“初期費用”とも呼ばれます。
また、イニシャルコストは、大きく以下の2つに分けることができます。
・居抜き物件を取得するために必要なコスト
・居抜き物件取得後、開業するまでに必要なコスト
では、それぞれ具体的にどのようなものが当てはまるのか見てみましょう。
居抜き物件を取得するために必要なコスト
居抜き物件取得に必要なコストは、主に以下の通りです。
・保証金、敷金
居抜き物件の契約時、オーナーに対して支払います。
退去時には、原状回復費用等を差し引いた分が返還されるのが一般的です。
また、相場は賃料の6~12ヶ月分となっています。
・礼金
物件契約時、物件を使用させてもらうことのお礼として、オーナーに支払います。
保証金、敷金とは違い、返還されることはありません。
金額は、高くても賃料の2ヶ月分程度です。
・仲介手数料
不動産会社に支払う手数料です。
賃料の1ヶ月分程度が相場です。
・前払い賃料
居抜き物件の契約時に、契約月と翌月の賃料を支払います。
金額は最大で賃料の2ヶ月分です。
・造作譲渡料
居抜き物件に残された内装、厨房機器、空調設備、什器などの設備を買い取る場合に、前入居者に支払います。
業態や店舗の状態によって金額はさまざまです。
居抜き物件取得後、開業するまでに必要なコスト
以下のコストは、居抜き物件取得後、飲食店を開業するまでの間に必要なコストです。
・内外装費用
内外装工事にかかる費用です。
目安は坪単価20~50万円ほどですが、居抜き物件では大幅に削減できる可能性があります。
・看板施工費用
飲食店の看板設置にかかる費用です。
こちらも、一般的な相場は20万円ほどですが、居抜き物件であればもう少し安くなる可能性があります。
・厨房機器費用
厨房機器を揃えるために必要な費用です。
設備が多く残っている居抜き物件であれば、こちらの費用はほとんどかかりません。
・家具、食器費用
食器棚、テーブル、イス、レジ、食器などを揃えるための費用です。
これらが多く残っている居抜き物件の場合は、ほとんど費用がかかりませんが、逆に残っていない場合は30万円程度かかることもあります。
・募集費用
従業員の募集にかかる費用です。
こちらは、居抜き物件であるかそうでないかにかかわらず、80,000円前後かかります。
・その他の費用
レジへのPOS導入、パソコンの購入などにかかる費用です。
いずれも10万円程度が相場です。
・運転資金
居抜き物件での飲食店開業をする場合は、経営が軌道に乗るまでの運転資金をあらかじめ準備しておく必要があります。
金額としては、賃料の10ヶ月分程度が目安です。
ランニングコストの概要
ランニングコストとは、飲食店の経営を行うために、毎月必要とされる経費のことをいいます。
こちらは、先ほど少し触れた運転資金に含まれるものであり、居抜き開業前に内容を把握しておかなければ、経営が立ち行かなくなる恐れがあります。
主なランニングコスト
・人件費
従業員を雇用するための必要なコストです。
正社員とアルバイトで、人件費は大きく変わります。
・賃料
居抜き物件を使用するために、毎月支払うコストです。
立地や築年数が浅いほど賃料は高くなりますが、その分集客率はアップします。
・水道光熱費
電気、ガス、水道を使用するために支払うコストです。
飲食業界は、どの業態も比較的水道光熱費が高めです。
・仕入れ費用
食材、飲料などを仕入れるために必要なコストです。
仕入れ原価が高いとランニングコストが高まり、逆に低すぎると料理などの質が下がり、来客が不満を感じやすくなります。
・消耗品費
洗剤やトイレットペーパーなどの消耗品を購入するための費用です。
繰り返し使用できる箸などに替えることで削減できます。
・広告費
自社ホームページの運営、チラシの作成などにかかる費用です。
SNSを活用するなどすることで、ある程度費用は削減できます。
・通信費
電話、インターネットを利用するために支払うコストです。
・手数料負担費用
キャッシュレス決済、クレジットカード払いなどを導入する場合に、手数料を負担するための費用です。
支払方法が多いほど来客が利用しやすくなりますが、こちらのランニングコストは高額になります。
まとめ
ここまで、飲食店の居抜き開業時にかかるイニシャルコスト、その後の経営でかかるランニングコストについて解説してきました。
居抜き開業を行う場合、イニシャルコストは大幅に抑えられる可能性があります。
しかし、ランニングコストを準備せずに経営を始めてしまうと、軌道に乗る前に頓挫してしまう可能性があるため、注意してください。