居抜きでの飲食店経営は、マンション等の1階にあるテナントや、さまざまな飲食店が入ったテナントビルの一画を借りて行われることが多いです。
また、中には商業施設内の居抜き物件を借りる方もいます。
今回は、商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営のメリット・デメリットについて詳しく解説したいと思います。
商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営のメリット
ショッピングモールなどの商業施設内にある居抜き物件で行う飲食店経営には、主に以下のようなメリットがあります。
・集客力が高い
・広告費用がリーズナブル
・ターゲットを絞りやすい
・天気の影響を受けにくい
集客力が高い
商業施設の居抜き物件には、飲食店以外にもさまざまな店舗が入っています。
そのため、飲食をする以外の目的で訪れている方が、「ついでにご飯も食べていこう」という風に来店する可能性があります。
また、駅直結などのアクセス力を持つ商業施設であれば、通行量は必然的に増えるため、集客のチャンスは増加します。
こちらは、商業施設ならではのメリットと言えます。
広告費用がリーズナブル
マンションやテナントビルなどの居抜き物件で飲食店を経営する場合、広告宣伝は基本的に、その店舗自体がすべて行わなければいけません。
一方、商業施設の場合、その施設がホームページ、チラシなどで情報を発信しているため、広告費用は比較的抑えることができます。
もちろん、細かいメニューやサービスなどの情報発信は、飲食店自体が行わなければいけませんが、ある程度サポートしてもらえるのはメリットと言えます。
ターゲットを絞りやすい
商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営には、ターゲットを絞りやすいというメリットもあります。
一口に商業施設といっても、その種類やメインターゲットはさまざまです。
例えば、都市部にあるファッション系の商業施設は、基本的に10~20代が訪れやすいですし、駅前の百貨店などは、40代以降の主婦などが主なターゲットになります。
また、これらの特性を活かすことにより、若者向けの飲食店はファッション系の商業施設、40~50代の受けを狙った飲食店は百貨店等に出店することで、容易にターゲットを絞ることが可能です。
天気の影響を受けにくい
天気の影響を受けにくいという点も、商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営の大きなメリットです。
商業施設の中には、駅直結や屋内駐車場完備など、いわゆるドア to ドアが実現できる立地で営業しているところも多いため、よっぽどの荒天にならない限り、いつでも集客が見込めます。
むしろ、周辺にこれといった大きな施設がない場合、雨の日の売上が大きくアップすることも考えられます。
商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営のデメリット
一方で、商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営には、以下のようなデメリットもあります。
・賃料の負担が大きい
・営業日、営業時間を決めることができない
・売上金がすぐ手に入らない
賃料の負担が大きい
マンションやテナントビルの居抜き物件で飲食店経を経営する場合に比べて、商業施設は賃料の負担が大きくなりやすいです。
なぜなら、商業施設は賃料が固定ではなく、売上歩合方式であることが多いからです。
こちらは、売上のうちの数%を賃料として支払うという方式であり、飲食店の売上が上がるほど、賃料は高くなります。
よって、「売上は伸びているのに、なかなか利益が出ない」という状況にもなりかねません。
営業日、営業時間を決めることができない
商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営の大きな欠点としては、営業日、営業時間を決めることができないということも挙げられます。
基本的に、商業施設は9~11時に開店し、20時~23時には閉店します。
そのため、早朝営業や深夜営業でも集客が見込めるカフェ、居酒屋などは、あまり商業施設とは相性が良くない可能性があります。
売上金がすぐ手に入らない
マンションやテナントビルの居抜き物件で飲食店を経営する場合、基本的に売上金はそのまま店舗に入ってきます。
そのため、多少資金繰りが苦しくても、なんとかやりくりできる可能性があります。
一方、商業施設の居抜き物件で経営する場合、基本的にそのまま売上金を受け取れることはありません。
なぜなら、商業施設の多くは、預り金精算方式を採用しているからです。
預り金精算方式とは、当月の売上金を一度商業施設に預け、そこから賃料、その他の諸経費が差し引かれた金額が、飲食店側に振り込まれるという方式を指しています。
つまり、どれだけ売上が多い月であっても、飲食店のもとに入るまで少しタイムラグがあるため、資金繰りが厳しい飲食店にとっては不利だということです。
まとめ
ここまで、商業施設の居抜き物件で行う飲食店経営のメリット・デメリットを見ていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
商業施設には、他の建物にはない強みがありますが、その分ルールやシステムなどは比較的複雑です。
そのため、多少集客に苦戦したり、マーケティングの手間がかかったりしてでも、自由度の高い経営をしたいという方は、別の方法で開業しましょう。