飲食店を居抜き開業する際には、求人サイトなどで従業員を募集し、複数人体制で店舗を回していくのが一般的です。
一方で、一切従業員を雇わず、経営者の方が一人で準備から開業、経営まで行うという選択肢もあります。
ここからは、一人で飲食店を居抜き開業する場合のメリットやデメリット、対策について解説します。
一人で飲食店を居抜き開業するメリット
経営者の方が一人で準備、居抜き開業、当面の経営まで行うメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・コストが抑えられる
・来客との関係を築きやすい
・店舗全体を把握しやすい
コストが抑えられる
一人で飲食店を居抜き開業するメリットは、なんといってもコストが抑えられることです。
飲食店において、人件費が経営を圧迫し、廃業につながるというのはよくある話です。
特に、開業直後はイニシャルコストを回収する必要があり、人件費がかかりすぎると、なかなか経営を軌道に乗せることができません。
一人での居抜き開業であれば、このような心配はなくなります。
来客との関係を築きやすい
経営者の方が一人で飲食店を居抜き開業するメリットとしては、来客との関係を築きやすいということも挙げられます。
一人で居抜き開業するということは、来店の対応もすべて経営者の方が行うということであり、コミュニケーションを取る機会は必然的に増加します。
もちろん、ここで良い対応を心掛けることで、常連客の獲得につながる可能性もあります。
店舗全体を把握しやすい
経営者の方が一人で飲食店を居抜き開業する場合、必然的に店舗の規模は小さくなります。
また、小さい店舗はそれほど多くの来客を招き入れることができませんが、その分店舗全体を把握しやすくなります。
経営者の方が店舗のことを把握しているほど、来客に対して良いサービスが提供しやすく、こちらも常連客の獲得や評価の向上につながります。
一人で飲食店を居抜き開業するデメリット
一人で飲食店を居抜き開業するケースには、以下のようなデメリットも存在します。
・売上の上限が低い
・料理の提供に時間がかかる
・仕入れ費用が高くなりやすい
・代わりがいない
売上の上限が低い
一人で飲食店を居抜き開業する場合、店舗の規模は小さくなるという話をしましたが、このような物件は、当然売上の上限が低くなります。
そのため、いくら人件費を削減できるからといって、工夫しなければ十分な利益は得られない可能性があります。
料理の提供に時間がかかる
一人で調理や接客、片付けまですべて行うとなると、どうしても料理の提供には時間がかかります。
もちろん、このような体制がリピーター獲得の機会損失につながるおそれもあります。
仕入れ費用が高くなりやすい
一人で居抜き開業する規模の小さい飲食店では、食材などの仕入れ費用が高くなりやすいです。
なぜなら、このような店舗では大量発注ができず、ボリュームディスカウントが利かない場合が多いからです。
代わりがいない
経営者の方が一人で居抜き開業、経営を行う場合、もし体調が悪化したり、やむを得ない事情があったりしても代わりがいないため、融通が利きません。
どうしても営業するのが難しいという場合は、休業するしか方法がなく、その際には当然売上が下がってしまいます。
一人で飲食店を居抜き開業する際の対策
一人で飲食店を居抜き開業する場合、準備段階でさまざまな対策を打っておくべきです。
具体的には、以下のような対策です。
・券売機の導入
・セルフサービスの導入
・食器の量を増やす
券売機の導入
一人で居抜き開業、当面の経営まで行うのであれば、券売機の導入は必須です。
券売機があれば、来客からオーダーを取る手間が省ける上に、会計を行う必要もありません。
もし、スペースなどの都合上、券売機を設置するのが厳しいのであれば、電子決済を採り入れるなど、券売機とは別に会計をスムーズにするための工夫が必要です。
セルフサービスの導入
一人で居抜き店舗を回す場合、混雑具合によっては、来客への対応が遅れることもあります。
特に、水のおかわりなどは対応が遅れやすくなりますが、こちらはテーブルにピッチャーを置いたり、セルフサービスの給水機を設置したりすることで解決できます。
食器の量を増やす
ランチタイムやディナータイムなど混雑する時間帯は、なかなか一人で洗い物までこなす時間が確保できません。
そのため、一人で飲食店を居抜き開業するのであれば、食器の数は全体的に増やしておくべきです。
こうすることで、配膳の際に食器が足りないという事態を回避できます。
もちろん、食洗機の設置も必要不可欠です。
まとめ
ここまで、経営者の方が一人で飲食店を居抜き開業する場合のメリット・デメリット、事前対策について解説してきました。
とにかくコストを抑えながら、すべての工程や作業に関わりたいという方は、一人での居抜き開業も検討しましょう。
ただし、一人で飲食店の経営を軌道に乗せるまでには、相当の努力と工夫が必要であるため、きちんと熟考した上で判断すべきです。