居抜き物件で飲食店を開業する際は、立地や最寄り駅の特徴、賃料や間取りなど、さまざまなことを考慮して物件を決めます。
また、居抜き物件を決める際には、来客の生活範囲を調査することも非常に重要です。
今回は、来客の生活範囲の調査方法、来客の生活範囲を調査して物件を決めることのメリットなどを解説します。
そもそも来客の生活範囲とは?
来客の生活範囲とは、その飲食店のターゲットとなる客層が生活している範囲のことをいいます。
また、来客の生活範囲は、どのようなエリアで、どのような業種、業態の飲食店を開業するかによってかなり違いが出てきます。
例えば、住宅街にある居抜き物件でカフェをオープンする場合、来客の生活範囲は非常に狭いことが予想されます。
なぜなら、住宅地に住む方が主なターゲットとなるからです。
一方、郊外の駐車場付き居抜き物件でファミリーレストランを開業する場合、来客の生活範囲はとても広くなります。
こちらは、車で来客するファミリー層が主なターゲットとなることが理由です。
ちなみに、一風変わったコンセプトの飲食店を経営するのであれば、遠方から訪れる来客もターゲットになるため、来客の生活範囲は広くなると考えることができます。
来客の生活範囲をリサーチする方法
居抜き物件における来客の生活範囲のリサーチは、まず自身がオープンする飲食店の主なターゲットについて考えるところから始まります。
また、主なターゲットが決まったら、それらのターゲットが徒歩で来店するのか、電車で来店するのか、はたまた車で来店するのかについて考えます。
来店の手段が把握できたら、最後に来店にかかる時間について考えましょう。
ここまで考えることで、“徒歩5分圏内”、“電車で2駅圏内”、“車で20分圏内”という風に、来客の生活範囲を明確にすることができます。
競合店について把握することも大切
居抜き物件を決定する際は、来客の生活範囲を明確にするだけでなく、競合店について把握することも大切です。
競合店として選ぶ店舗には、業態が似ている店舗、または利用の動機が似ている店舗が挙げられます。
例えば、和の雰囲気を前面に押し出したカフェを開業させるのであれば、同じようにゆったりくつろげる雰囲気のカフェ、SNS映えを狙った商品を提供しているカフェなどを競合店とします。
また、利用の動機が似ている店舗には、同業態しか該当しないとは限りません。
例えば、利用の動機が「お酒を楽しみたい」というものであれば、居酒屋だけでなくアルコールが多いレストランなども競合店に含まれます。
このように、競合店を選んだ後は、その店舗の客層や客単価、来客状況などのデータを集め、これから開業する飲食店の経営に活かします。
来客の生活範囲を調査して居抜き物件を決めるメリット
居抜き物件を決める際、事前に来客の生活範囲をリサーチすることには、以下のようなメリットがあります。
・経営戦略が立てやすくなる
・メニュー、サービスの工夫がしやすくなる
・立地が良くなくても成功する可能性がある
経営戦略が立てやすくなる
来客の生活範囲をリサーチしてから居抜き物件を決めることで、経営戦略が立てやすくなります。
例えば、来客の生活範囲が狭く、なおかつ中高年層が多いエリアだとわかっている場合、WebサイトやSNSだけでなく、新聞の折り込みチラシなども活用するなど、的確な集客戦略を立てることができます。
メニュー、サービスの工夫がしやすくなる
居抜き物件を決定する前に、あらかじめ来客の生活範囲をリサーチしておくことで、飲食店におけるメニュー、サービスの工夫がしやすくなります。
具体的には、メニューの名前や価格設定、あるいは割引券などの詳細について、来客層と生活範囲に応じて決めることができます。
立地が良くなくても成功する可能性がある
居抜き物件の決定前に来客の生活範囲をリサーチすれば、立地が悪くても飲食店の経営が成功する可能性があります。
例えば、来客が絶えない秘境にあるレストランなどは、典型的な成功例です。
つまり、そのエリアにおける来客の生活範囲を理解し、なおかつそれが広いエリアであれば、一般的に悪い立地とされている場所でも、十分集客はできるということです。
来客の生活範囲をリサーチする場合の注意点
居抜き物件を決める際、事前に来客の生活範囲をリサーチするのは良いことですが、1つだけ注意することがあります。
それは、開業後に生活範囲が狭くなる可能性があるということです。
ただし、幹線道路が整備されるなどの理由により、逆に生活範囲が広くなることも考えられるため、マイナスなことばかりではありません。
まとめ
ここまで、居抜き物件の決定前に行うべき、来客の生活範囲調査について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
冒頭でも触れたように、飲食店の開業に伴う居抜き物件選びでは、さまざまなことを考慮しますが、長く飲食店の経営を継続したいのであれば、やはり来客の生活範囲のリサーチは必須です。
事前にリサーチをしない場合、良い立地に飲食店を開業できたとしても、徐々に経営は苦しくなる可能性が高いです。