これから居抜き物件で飲食店を開業させようと考えている方は、今回解説する知識を事前に身に付けておきましょう。
これらの知識を身に付けることで、店舗開業の計画が狂ったり、店舗開業の際にトラブルが発生したりする可能性は低くなります。
ぜひ最後までご覧ください。
居抜き物件での飲食店開業前に必ず知っておきたいコト6選
以下のことについては、最低限の備えとして、居抜き物件で飲食店を開業する前に把握しておくべきです。
・飲食店の開業が不可能なエリアがある
・坪単価=賃料ではない
・不動産用語はエリアによって異なる
・助成金制度を利用できる
・飲食店の開業には資格がいる
・飲食店の開業には届出がいる
飲食店の開業が不可能なエリアがある
居抜き物件で飲食店を開業させようと考えている方は、まず飲食店の開業が不可能なエリアがあることを知っておきましょう。
飲食店の開業が不可能なエリアとは、都市計画法で定められている“用途地域”のことを指します。
用途地域には、住居としてしか建物を利用できないエリアなどがあり、このようなエリアでは、原則飲食店などの店舗の開業は不可能になっています。
もちろん、すべての用途地域で飲食店を開業できないわけではありません。
中には、住居と兼用する飲食店であれば、開業できるというエリアもあります。
ただし、たとえ良い居抜き物件が見つかったとしても、そこで店舗が開業できると決めつけて、計画を進めないように注意しましょう。
坪単価=賃料ではない
居抜き物件での飲食店を開業前には、“坪単価=賃料ではない”ということも把握しておきましょう。
坪単価とは、1坪(3.306㎡)あたりの賃料のことをいいます。
居抜き物件探しをしているとき、その物件に坪単価で賃料が記載されていることもありますが、実際支払わなければいけない賃料は、単純に坪単価を坪数でかけて算出される金額ではないため、注意が必要です。
なぜかというと、賃料には保証金の金利、管理費などが上乗せされるからです。
また、物件によっては、設備の管理費用など、これら以外にもさまざまなランニングコストが発生する場合もあります。
したがって、坪単価を利用するのは、他の物件と賃料を比較するときだけにとどめておきましょう。
坪単価=賃料と考え、店舗物件を契約してしまうと、費用に関する計画が大きく狂うことになってしまいます。
不動産用語はエリアによって異なる
不動産用語がエリアによって異なるということも、居抜き物件での飲食店開業前に必ず把握しておきましょう。
例えば、店舗物件を借りる際に支払う敷金、礼金のうち、退去時に返還されない金銭のことを“償却”と言います。
ただ、こちらはあくまで関東エリアで使われる用語であり、関西エリアでは償却のことを“敷引き”と呼ぶことがあります。
このように不動産用語には、同じ意味ながら言い方が異なるというものが多く存在しているため、できる限り同じ意味の用語はまとめて覚えるようにしましょう。
助成金制度を利用できる
居抜き物件で飲食店を開業させる際は、各エリアによって実施されている助成金制度を利用できる場合があります。
例えば、横浜市には“横浜市創業促進助成金”というものがあります。
こちらの制度は、横浜市内で創業を目指す方に対して、創業時の経費の1/2に相当する助成金を支給するというものです。
上限金額は30万円で、申請するためには所定のセミナーなどを受講し、証明書を受け取る必要があります。
このような助成金制度を活用することで、飲食店開業時の負担は多少軽減されます。
すべてを借入金や自己資金で賄おうと考えていた方は、一度自身が開業を目指すエリアに助成金制度があるかどうかをチェックしましょう。
飲食店の開業には資格がいる
居抜き物件で飲食店を開業しようと考えている方は、開業するための資格がいることも知っておきましょう。
具体的には、以下の2つの資格が必要です。
・食品衛生責任者
・防火管理者
食品衛生責任者は、不特定多数の人に対し、飲食を提供する際の衛生管理責任を持つための資格です。
また、防火管理者は、消防法によって定められた国家資格で、収容人数が30名以上の飲食店では必ず設置しなければいけません。
飲食店の開業には届出がいる
居抜き物件だけに限ったことではありませんが、飲食店の開業にはいくつかの届出も必要になります。
具体的には以下の通りです。
・保健所への営業許可申請の届出
・消防署への火気設備設置の届出
保健所への届出は、営業開始予定日2~3週間前に行います。
また、火を使用して調理する飲食店を開業する場合は、火機設備を設置する前に消防署へ届出をしなければいけません。
まとめ
居抜き物件での飲食店開業前に必ず知っておきたい、6つの知識について解説しました。
ここまで目を通してくださった方は、冒頭で言った「これらの知識を身に付けることで、店舗開業の計画が狂ったり、店舗開業の際にトラブルが起こったりする可能性は低くなる」という言葉の意味を理解していただけたでしょう。
少しでも開業時のリスクやトラブルを減らし、スムーズに手続きを進めることは重要です。