飲食店を開業させるための居抜き物件は、あらゆる要素を総合的に加味して決定します。
また、総合的な判断を下すためには、オーナーとなる方が自分自身で現地に赴き、居抜き物件の“通行量”に関する調査をしなければいけません。
ここからは、通行量の調査とはどのようなものなのかについて解説していきます。
居抜き物件を賃貸する前に行うべき通行量の調査とは?
居抜き物件を借りる前に行うべき通行量の調査とは、候補となる物件の前を通る人の属性、数などを把握するために行う調査のことをいいます。
前を通る人が多い物件であれば、当然集客のチャンスは多くなりますし、飲食店がターゲットとしている属性の人が多く通る物件であれば、そのチャンスはなおさら訪れやすくなります。
ただし、多くの人が前を通る居抜き物件であれば、必ず飲食店の経営に成功するというわけではありません。
あらゆる要素が重なることで、初めて通行量の多さは有利に働きます。
居抜き物件を賃貸する前に行う通行量の調査方法について
居抜き物件があるエリアによっては、対象エリアの商工会議所などにより、通行量がすでに調査・公表されている場合もあります。
しかし、最新の通行量を把握するためには、やはりオーナーとなる方自身が調査を行うことをおすすめします。
具体的には、まず以下の4つのことを明確にしてから調査します。
・時間帯、曜日
・属性
・調査時間
時間帯、曜日
まずは、通行量の調査を行う時間帯、曜日を決定します。
こちらは、自身が開業する飲食店の業態、営業時間などを加味して決定するものです。
つまり、夜の時間帯をメインに営業する場合は、その時間帯の通行量を重点的にチェックすべきだということです。
また、すでに定休日が決定しているという場合、その曜日の通行量調査は基本的に必要ありません。
ただし、明らかにその曜日の通行量が多い場合には、定休日の変更も検討しなければいけないため、最初はすべての曜日で通行量を調査することをおすすめします。
属性
自身が開業する飲食店のターゲットを加味して、カウントする通行人の年齢、性別などを決定します。
若い女性がターゲットの飲食店を開業する場合、たとえ人通りが多かったとしても、中高年のサラリーマンなどが中心であれば、その物件は賃貸すべきではありません。
調査時間
居抜き物件の前を通る人について、どれくらいの時間調査するのかを決定します。
もちろん時間が長ければ長いほど、正確なデータが集まりやすくなりますが、調査ばかりに膨大な時間をかけることは難しいため、前もって区切りをつけておくことをおすすめします。
ちなみに、オーナー自身が借りようとする居抜き物件だけでなく、競合店の前を通る人についても調査し、後で比較するとより良い調査になります。
居抜き物件を賃貸する前に行う通行量の調査における注意点
通行量は前述の時間帯や曜日だけでなく、他にもさまざまな要因で変化します。
したがって、居抜き物件を借りる前に通行量の調査を行うときは、以下の点に注意しましょう。
・時期
・行事
・天気
・交通機関
時期
年末年始や大型連休がある時期などは、通常よりも多くの人が物件の前を行き交うことになります。
そのため、正確な通行量のデータを取るのが難しく、調査をする時期としては適していません。
行事
周辺でお祭り、コンサートなどが開催されているときも、通行量が必然的に多くなるため、正確なデータを得ることができません。
天気
天気が良い日に比べて、雨や雪の日は当然通行量が少なくなります。
特に、台風が接近しているタイミングなどは、必ず調査を避けるようにしてください。
交通機関
駅に近い居抜き物件の場合、駅に電車が到着した直後などは、極端に通行量が増加することもあるため、こちらのタイミングは避けるのが無難です。
居抜き物件を賃貸する前に行う通行量の調査の評価について
通行量の調査の評価は、“どれくらいの数の人が通ったか”、そして“その中にターゲットとなる人はどれくらいいたか”という視点から評価します。
したがって、ただ単に通行量が多く、ターゲットとなる属性の人がほとんど通らない居抜き物件は、優れた立地にあるとは言えないのです。
それであれば、通行量が少なくとも、その中にターゲットが多く含まれている居抜き物件の方が、よっぽど立地に優れた物件だと言えます。
また、先ほど少し触れたように、これらのデータを競合店のデータと比較することで、自身が借りようとする居抜き物件の立地がどれだけ優れているのかがわかります。
まとめ
ここまで、居抜き物件を借りる前に行うべき、通行量の調査について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
オーナーとなる方自身が行う通行量の調査は、ある程度時間も体力も必要になりますが、こちらを実施することで、思惑通りの集客に繋がりやすくなります。
そのため、単純に「通行量が多い立地は良い立地」と考えている方は、一度考えを改めて、自身で信憑性の高いデータを集めることを心掛けましょう。