居抜き物件での飲食店開業前には、あらゆる数字についてシミュレーションしなければいけません。
シミュレーションの実施が、飲食店の経営を成功させるための重要な作業となるためです。
ここからは、具体的にどのような数字についてシミュレーションすべきなのか、ポイントに触れながら解説していきたいと思います。
居抜き物件での飲食店開業前にシミュレーションすべき数字6選
以下の数字に関しては、必ず居抜き物件での飲食店開業前にシミュレーションしなければいけません。
・イニシャルコスト
・売上
・売上から差し引かれる賃料のパーセンテージ
・売上から差し引かれる経費のパーセンテージ
・損益分岐点
・広告宣伝費
イニシャルコスト
居抜き物件での飲食店開業前には、開業にかかるコストについて必ずシミュレーションします。
イニシャルコストには、物件取得費や内装、設備費の他に、ある程度経営を安定させるまでに必要なランニングコストも含まれます。
また、イニシャルコストは、500~2,000万円ほどかかるケースが多いですが、シミュレーションの際に着目するポイントはトータルの金額ではなく、自己資金をどれくらい含むのかという点です。
イニシャルコストに自己資金をある程度含まないと、借入の際の審査に通らない可能性があるため、全体の1/3程度は自己資金で賄うようにしましょう。
売上
居抜き物件での飲食店開業前には、売上についてもシミュレーションしなければいけません。
具体的には、物件における席の数、回転率などから、1日あたりどれくらいの売上が期待できるかをシミュレーションします。
また、飲食店における1日の予想売上は、席数×満席率×回転率×客単価で計算できます。
もし、まだ席の数が明確でない場合は、物件の坪数に1坪あたりの席数を掛けることで、ある程度席の数は把握できます。
満席率については、飲食店が満席のとき、席が埋まっているパーセンテージを表す数字であり、目安は60~70%と言われています。
こちらの目安の根拠には、2人用や4人用のテーブル席を1人の来客が利用している場合もあることが挙げられます。
売上から差し引かれる賃料のパーセンテージ
居抜き物件での飲食店開業前には、売上から差し引かれる賃料のパーセンテージについてもシミュレーションしましょう。
たとえ順調に売上を伸ばしたとしても、売上から差し引かれる賃料のパーセンテージが多すぎると、なかなか経営は安定しません。
そのため、差し引かれる賃料のパーセンテージは、売上の10%程度を目安にしておきましょう。
例えば、予測売上が100万円の場合、店舗物件の賃料は多くても10万円までに抑える必要があります。
ただし、こちらのパーセンテージを目安にする場合、エリアによっては極端に狭い物件しか賃貸できない可能性があるため、その点に関しては留意しておきましょう。
売上から差し引かれる経費のパーセンテージ
居抜き物件での飲食店開業前には、売上から差し引かれる経費のパーセンテージに関してもシミュレーションします。
飲食店における経費には、主に賃料、原価、人件費の3つが挙げられます。
賃料については先ほど解説しましたので、ここでは原価と人件費にスポットを当てて考えてみましょう。
原価と人件費を合計したコストは、“FLコスト”と呼ばれます。
Fは“Food(原価、材料費)”を意味し、Lは“Labor(人件費)”を意味しています。
また、売上から差し引かれるFLコストのパーセンテージは、60%程度になるようにシミュレーションしておきましょう。
損益分岐点
居抜き物件での飲食店開業前には、必ず損益分岐点についてもシミュレーションすべきです。
損益分岐点とは、売上とコストの額がちょうど等しくなるラインのことを言います。
簡単に言うと、経営において利益も損失も発生しなくなるラインのことを指し、こちらのラインを乗り越えないことには、飲食店は赤字経営になってしまいます。
また、損益分岐点は、固定費÷(1-変動費率)という計算式でシミュレーションすることが可能で、変動費率に関しては、変動費(原価、パートやアルバイトの人件費など)を売上高で割ることでシミュレーションできます。
広告宣伝費
広告宣伝費も、居抜き物件での飲食店開業前にシミュレーションすべき数字の1つです。
こちらは、イニシャルコストの一部ではありますが、使用する媒体などによって金額にバラつきが出やすいため、別項目として考えることをおすすめします。
また、チラシによる広告宣伝は多くても10万円前後、Webページの作成などを含むとトータルで30万円前後になることもあります。
その他には、広告宣伝のためのインターネット、電話敷設料が3万円前後かかります。
まとめ
居抜き物件での飲食店開業前にシミュレーションすべき数字について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
飲食店を開業させるにあたって、イニシャルコストに関する入念なシミュレーションを行う方は多いですが、経営を成功させるためには、他にもさまざまな数字についてシミュレーションしなければいけません。
そうしなければ、1年も持たずに廃業してしまう可能性も十分にあります。