飲食店を開業するにあたって、気になる居抜き物件が見つかった場合、必ず内見を行い、内装や設備状況などをチェックします。
また、自身がオープンする店舗に必要な広さや座席数を確保できるかどうかも、居抜き物件の内見では確認しなければいけません。
今回は、居抜き物件に必要な広さ、座席数について詳しく解説します。
居抜き物件に必要な広さについて
必要な広さに関しては、開業する飲食店の業態によってさまざまですが、基本的にはどのような業態であっても、10坪程度の広さがあれば開業は可能です。
また、広さが10坪に満たない居抜き物件であっても、テイクアウトがメインとなる飲食店や、テーブル席を設けないラーメン屋、バーなどは十分開業できます。
ちなみに、10坪に満たない物件は、調理場、客席ともに手狭になる一方で、賃料や人件費などのランニングコストが軽減されるため、利益を上げやすいというメリットがあります。
そのため、多くの方は「なるべく広さのある居抜き物件で飲食店経営をしたい」と考えるかもしれませんが、業態によっては、あえて少し狭い居抜き物件を狙うことも考えましょう。
ちなみに、30坪を超えるような広すぎる居抜き物件を選んでしまうと、賃料や人件費が高くなったり、清掃に手間がかかってしまったりする可能性があるため、注意が必要です。
居抜き物件に必要な座席数について
必要な座席数は、1坪につきどれくらいの座席数にするのかによって変わります。
例えば、一般的なレストランであれば、1坪につき1.3席を設けているケースが多いです。
一方、ファストフード店などの業態では、1坪につき2.5席という多めの座席数にしているケースがよく見られます。
基本的に、「ゆったりと座れる店舗にしたい」と考える方は、1坪に設ける座席数を少なくしましょう。
もちろん、座席数を多くすればするほど、多くの来客を取り込めるため、利益が大きくなるのは言うまでもありません。
ただし、座席数を増やすということは、その分調理場のスペースが狭くなるということであるため、忘れずに念頭に置いておきましょう。
どれほど多くの集客に成功し、どれほど飲食店が繁盛したとしても、調理場が狭いことで調理の効率が悪くなり、経営を回せなくなってしまうと意味がありません。
また、高級感のある飲食店などを経営したい場合、1坪につき複数の座席数にしてしまうと、コンセプトに合ってない店舗が出来上がることも考えられます。
そのため、まずはコンセプトをしっかり確立してから、店舗に必要な座席数を考えるようにしましょう。
ちなみに、立ち食いそば店・うどん店など、客単価が少なく、なおかつ回転が速い業態の飲食店は、できるだけ多く座席数を設けることをおすすめします。
調理場と客席のパーセンテージについて
必要な広さ、座席数という観点から居抜き物件探しをする場合、調理場と客席のパーセンテージをどうするのかも必ず決定しなければいけません。
一般的には、食事をメインに提供する飲食店ほど、調理場のパーセンテージが多くなります。
例えば、レストランにおける調理場と客席のパーセンテージは、調理場4:客席6の場合が多いです。
逆に、バーやカフェなど、食事ではなくアルコールやドリンクをメインに提供する飲食店であれば、もう少し客席のパーセンテージを増やしても問題ありません。
具体的には、調理場2:客席8くらいのパーセンテージが目安です。
これらをまとめると、食事をメインに提供する場合は調理場の広さがある居抜き物件、食事以外をメインに提供する場合は客席が広めの居抜き物件を選ぶべきだということになります。
自身が開業する店舗に必要な広さ、座席数を分析して、その後に調理場と客席のパーセンテージを決定すれば、問題なく必要な広さと座席数のある居抜き物件を探すことができるでしょう。
居抜き物件の広さと賃料の関係性について
“居抜き物件に必要な広さについて”で少し触れましたが、あまりにも広さがありすぎる居抜き物件は、賃料が高額になるため、注意が必要です。
賃料は、広さ(坪数)×坪賃料単価(1坪あたりの価格)で構成されているからです。
また、一般的に好立地であればあるほど、坪賃料単価も高額になるため、ランニングコストの負担は大きくなります。
よって、居抜き物件を選ぶ際は、必要な広さと座席数の観点から見るだけでなく、予算と照らし合わせ、そのエリアでの開業が現実的かどうかを判断しなければいけません。
ちなみに、居抜き物件探しを始めてから、その都度気になる物件と予算を照らし合わせていると効率が悪いため、前もって希望エリアの賃料相場は調べておきましょう。
まとめ
ここまで、必要な広さ、座席数から見た居抜き物件選びについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
「広い店舗で座席数を多くすれば儲かる」と安易に考えていた方は、一度考えを改めるべきです。
大事なのは、どのようなコンセプトの飲食店にするのか、居抜き物件において何を優先するのかを明確にした上で、適した物件を選択することです。