居抜き店舗を開業する場合は、開業エリア周辺における競合店について調査しなければいけません。
これにより、同じようなサービスを行う店舗にはどのような客層が訪れているのか、またどのような目的で訪れているのかいった情報を手に入れることができるためです。
ここからは、具体的な調査のポイントについて解説します。
どのような店舗が競合店に該当するのか?
競合店について調査する前に、まずどのような店舗が競合店に当てはまるのかについて考えましょう。
例えば、ラーメン店を居抜き店舗で開業する場合であっても、開業するエリア周辺のラーメン店だけが競合店になるとは限りません。
競合店に当てはまる店舗を決めるためには、以下の3つの視点から周辺の店舗を調査します。
・商品
・価格帯
・利用目的
商品
提供している商品が同じ、あるいは似通っている店舗は、競合店に該当します。
当然のことですが、ラーメン店であれば周辺にあるラーメン店、居酒屋であれば周辺にある居酒屋が競合店となります。
価格帯
メインとなる商品の価格帯、または客単価が近い店舗も、競合店として考えるべきです。
例えば、1杯700円のラーメンを提供する場合、900円のラーメンを提供している別の店舗よりも、700円のカレーを提供している業態の異なる店舗の方が、競合しやすくなる可能性があります。
利用目的
利用目的が似ている店舗も、競合店の1つとしてカウントしなければいけません。
例えば、「サッと食べてサッと帰りたい」という方をターゲットにした定食屋を開業する場合、業態は違うものの、同じような利用目的の方が集まる牛丼屋、立ち食いそば・うどん店などがライバルとして浮上することもあります。
競合店のどこを調査すべきなのか?
競合店に当てはまる店舗を明確にした後は、居抜き店舗開業前に競合店の調査をするため、現地に訪れます。
では、このとき、具体的に競合店のどこを調査すべきなのでしょうか?
基本的には、競合店の売上に関わる要因をすべて調査しなければいけません。
しかし、それだとあまりに時間がかかりすぎるため、以下の点を優先的に調査するようにしましょう。
・業種、業態
・店舗の規模(広さ)
・自身が開業する居抜き店舗からの距離
・客単価
・入店数、入店率
・客層
ちなみに、入店率とは、店舗の前を通過した人のうち、どれくらいの割合の人が入店したかを示す指標をいいます。
入店数÷店舗前通行人数で算出することが可能です。
競合店の売上を把握するにはどうすれば良いのか?
競合店の売上を把握することができれば、自身が開業する居抜き店舗において、どれくらいの売上を達成すべきなのかをある程度ハッキリさせることができます。
また、競合店の売上を把握する方法には、以下のような方法があります。
・来客数を数える
・本部に確認する
来客数を数える
競合店における開店から閉店までの来客数をカウントします。
すでに客単価を把握している状況であれば、客単価に来客数をかけることで、ある程度の売上を把握することが可能です。
ちなみに、競合店のレシートに通し番号が記載されている場合、閉店間際に来店すれば、わざわざカウントしなくても、ある程度の来客数を把握することができます。
ただし、こちらの場合は来客数ではなく組数を把握することになるため、情報の正確性は少し下がります。
極端な話、通し番号が300であっても、それがすべて1人客なのか、複数で訪れた来客なのかによって、客数は大きく変わってきます。
本部に確認する
競合店となる店舗がチェーン店である場合は、本部に問い合わせることで、売上を把握できる可能性もあります。
また、フランチャイズの本部では、特定の店舗における売上を公表していることもあります。
こちらのデータがあれば、居抜き店舗の推定売上を競合店の売上から導き出すことは可能です。
店内では何を調査すれば良いのか?
居抜き店舗を開業する前に、来客として競合店を直接訪ねる場合は、以下の点を重点的に調査することをおすすめします。
・内観
・演出
・メニュー
・接客
・料理
内観と外観の一貫性やインテリア、照明の明るさや雰囲気、メニュー表の見やすさやメニューの種類・数、従業員の身だしなみや言葉遣いなど、来客として訪れたときでなければ見られない部分については、じっくりと観察・調査しましょう。
また、これらの点を調査した後は、必ず自身が開業する居抜き店舗において、良いところを採り入れるようにしましょう。
逆に、競合店に弱いところがあるのであれば、自店ではそこを磨き、強みとすることで差別化を図ることができます。
まとめ
ここまで、居抜き店舗開業の前に行う競合店のチェックについて解説しましたが、いかがでしたか?
カフェのライバルはカフェ、居酒屋のライバルは居酒屋という風に考えていた方は、今回を機に考えを改めましょう。
競合店のチェックを適切に行わないと、開業直後からいきなり経営に苦しむ可能性もあります。
また、良いスタートダッシュを切らなければ、その後経済的に苦しい状況を立て直すのは難しくなります。