居抜きで飲食店を開業する大きな目的の1つに、イニシャルコストの削減が挙げられます。
そのため、開業時にはさまざまな助成金・補助金制度を利用して、できる限りイニシャルコストを抑えることをおすすめします。
ここからは、特におすすめの助成金・補助金制度を紹介していきたいと思います。
居抜きで飲食店を開業する際に利用すべき助成金・補助金制度5選
居抜きでの飲食店開業時、利用を検討すべき助成金・補助金制度は、主に以下の通りです。
・地域創造的企業補助金
・ものづくり補助金
・小規模事業者持続化補助金
・インバウンド対応力強化支援補助金
・IT導入補助金
地域創造的企業補助金
地域創造的企業補助金は中小企業庁が提供している助成金制度で、創業をする個人または中小企業を対象に、開業資金を補助してくれる制度です。
以前は“創業補助金”という名称でしたが、2018年からは現在の名称に変更されています。
補助してくれる金額は最大200万円で、補助してくれる割合はコストの2/3となっています。
つまり、居抜きで飲食店を企業する際のコストが300万円だとすれば、上限である200万円の補助を受けられるということです。
ただし、こちらの補助金制度で受け取ることができる資金は、開業後の利益から少しずつ返還する必要があります。
したがって、事前にしっかりと概要を把握してから利用を検討しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、新しいチャレンジを行う中小企業に対して、それに必要な資金を補助してくれる制度です。
居抜きで飲食店を開業する場合、そのエリアの特産品を活かして斬新なメニューを考案したり、全く新しいジャンルの飲食店を開業したりすることで、こちら制度が適用されます。
その他の条件には、資本金5,000万円以下、従業員100名以下などの条件があります。
また、こちらの制度は非常に補助される金額が大きいのが特徴で、上限は1,000万円に設定されています。
ただし、応募する際は、どれだけ革新的サービスを行うのか、どれだけ革新的なジャンルの店舗を開業するのかをチェックされるため、利用のハードルは決して低くありません。
自身が居抜きで開業する店舗の革新性に自信があるのであれば、ぜひ応募してみてください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、開業後に行う販路開拓戦略のコストを補助してくれる制度です。
正確に言うと、居抜きで飲食店を開業する際に利用する補助金制度ではありませんが、開業後の明確な戦略を立てている方は、ぜひ利用すべきです。
補助される金額の上限は50万円で、補助の割合はコストの2/3です。
また、こちらの制度で受け取った補助金は、飲食店におけるホームページや広告の作成、または店内をバリアフリーにするための費用などに利用することができます。
従業員が5名以下の店舗で、経営計画書を作成すれば利用できます。
インバウンド対応力強化支援補助金
インバウンド対応対応力支援補助金は、外国人旅行者の利便性や快適性を高めるための対策を強化するにあたって、必要な取り組みをサポートする補助金制度です。
例えば、居抜きの飲食店において、店内の案内やメニュー表、ホームページやパンフレット、オーダー端末などの多言語化をすることはもちろん、無線LAN環境の整備、キャッシュレス決済機器の導入、トイレの様式化など、あらゆる取り組みが補助対象となります。
ちなみに、対象となるのは、外国人旅行者のための多言語対応に取り組んでいる東京都内の飲食店であり、支給額は補助対象となる経費の1/2、補助額の上限は1店舗あたり300万円までとなっています。
ここ最近は新型コロナウイルスの影響により、インバウンドが減少している傾向にありますが、後々のことを考えると、開業時に利用しておきたい制度の1つだと言えます。
IT導入補助金
IT導入補助金は、飲食店の業務効率化や売上アップのためにITツールを導入する場合、そこにかかる経費の一部を補助してくれる制度です。
例えば、販売管理システムや勤怠管理ツールを導入する際にかかるコストは、こちらの補助金で賄うことが可能です。
その他、居抜きの飲食店においては、POSレジやセルフオーダー端末の導入にも利用できます。
ただし、IT導入補助金の支給対象となるには、生産性の向上に関わるITツールを導入しているだけでなく、補助対象になる事業を行うことで、3年後、4年後、5年後の伸び率がそれぞれ1%以上、1.5%以上、2%以上になる計画を作成しなければいけません。
ちなみに、支給額は補助対象となる経費の1/2であり、A類型の場合は40万~150万円未満、B類型の場合は150万~450万円がそれぞれ支給されます。
まとめ
居抜きで飲食店を開業する場合には、これだけの助成金・補助金制度が利用できます。
もちろん居抜きだけでなく、通常の飲食店開業でも利用できる制度ばかりですが、居抜きで開業する際に利用すれば、より大幅なコストカットが実現できます。
イニシャルコストは、綿密な資金計画を立てていても、なかなか計画通りに削減できないものです。
そのような場合に備え、今回紹介した助成金・補助金制度があることは把握しておきましょう。