和食料理屋は、高級感のある雰囲気から、家族や親戚などが集まる場所として利用されることが多いです。
また、インバウンド需要も見込めますが、中には売却を考えている方もいるでしょう。
今回は、和食料理屋の居抜き売却を成功させるために、押さえておきたいポイントを解説します。
和食料理屋特有の設備があることは必須
和食料理屋を居抜き売却する場合、業態特有の設備があることは必須です。
具体的には、座敷やふすま、引き戸といった設備です。
これらの設備がある状態で売却することにより、買い手は高級感のある店舗をほぼ現況の状態で使用できます。
また、和食料理屋特有の設備は、一から設置するとなるとかなりのコストがかかります。
そのため、居抜きで開業したいと考える方は非常に多いです。
他の売主と差をつけるには、なるべく現況のまま使用できるよう、事前に清掃や破損部の修繕などを行っておくべきです。
ある程度面積が広い物件の方が売れやすい
和食料理屋を居抜き売却する場合、ある程度面積が広い物件の方が売却しやすいと言えます。
高級感を売りにした和食料理屋の中には、カウンターのみでこぢんまりとしている店舗も多いです。
しかし店内が狭い場合、かなり回転率を上げない限り、基本的には高級店として経営するしか選択肢がありません。
一方ある程度面積が広く、なおかつ駐車場もあるような物件であれば、いわゆる和食ファミリーレストランのような形でも経営ができます。
冒頭でも触れたように、和食料理屋は法事など親戚同士が集まる場所としても使用されるため、面積が広い物件はニーズが高いです。
特にある程度の広さがあり、なおかつ個室も完備しているような物件であれば、多くの買い手に魅力を感じてもらえます。
ダクトやグリストラップは整備すべき
和食料理屋の居抜き売却では、必ずダクトやグリストラップなどの設備を整備すべきです。
和食料理屋は中華料理屋やラーメン屋などの重飲食とは違い、臭気や油が出にくいため、店舗は清潔に保たれている可能性が高いです。
店舗が清潔であることから、他業態へ転用されるケースもよく見られます。
そのため、居抜き売却を行う場合は、清潔感が十分であるかどうかをまず確認しましょう。
また、さまざまな業態への転用に対応するために、ダクトやグリストラップといった基本的な設備はきっちり清掃・修繕しておきましょう。
こうすることで、和食料理屋以外の店舗を開業したい買い手もターゲットにできます。
ちなみに、和食料理屋の他業種への変更例は以下の通りです。
・居酒屋、ダイニングバー ・イタリアンレストラン ・カフェ ・洋食屋 ・寿司屋 など |
調理設備の整備も売却のポイント
和食料理屋を居抜き売却する場合、調理設備もある程度整備しておかなければいけません。
油ものを調理する他の業態と比べて機会は少ないものの、フライヤーがガス台などの状態が良ければ、買い手に喜ばれる可能性が高いです。
また、材料を保管する設備として欠かせないのが業務用冷蔵庫です。
和食料理屋は、生の魚を扱うことも多いため、極冷温冷凍ができる設備があると評価が高くなります。
さらに魚をさばいたり、湯切りをしたりするため、床の防水機能を強化している物件は売却しやすいです。
そのため、売却前に防水工事を実施し、売却時には必ず防水工事保証書を提示しましょう。
外装のデザインや状態も重要
和食料理屋の居抜き売却を成功させるにあたっては、外装のデザインや状態も重要です。
和食料理屋の特徴と言えば、なんといっても日本の伝統的なデザインですが、こちらは内装だけでなく外装にも適用されます。
例えば、木材や石材などの和の要素が生きている、ライティングにこだわっているといった特徴を持つ物件は、多くの買い手に支持されます。
和が前面に押し出された外観は、日本人だけでなく、インバウンドの集客もしやすくなるからです。
また、外壁にひび割れなどの劣化が少ないことも、査定ではプラスになることが期待されます。
生け簀は高額で譲渡できる可能性が高い
和食料理屋における独特な設備の一つに生け簀があります。
こちらを譲渡することができれば、好条件の居抜き売却につながりやすいです。
生け簀は、新鮮な食材を使用していることをアピールするためには欠かせない設備です。
しかし、設置するには20~40万円ほどの費用がかかります。
そのため、多くの買い手は居抜き物件で手に入れたいと考えます。
特にサイズの大きいものはオブジェやインテリアの一部として使用することができ、来客にインパクトを与えられるため、より高額な売却が期待できます。
まとめ
和食料理屋は転用性が高いため、物件や設備の状態に問題がなければ、多くの買い手が集まる可能性が高いです。
立地についても、高級店であれば住宅街などでもニーズが見込めます。
ただし、油汚れがひどいなど、和食料理屋ならではの良さが残っていない物件は注意が必要です。
ある程度の清潔感がなければ、ターゲットが限定されて売却までに時間がかかってしまう可能性があります。