軽減税率の導入、新型コロナウイルスの感染拡大などを理由に、ここ数年でテイクアウト専門店は一気に市場を拡大しました。
しかし、増加した分競争も激しくなり、中には廃業を考えている方もいるでしょう。
今回は、テイクアウト専門店の居抜き売却におけるポイントを詳しく解説します。
人気の立地について
テイクアウト専門店の居抜き売却では、人が多く集まる繁華街やオフィス街などの物件が人気を集めやすいです。
規模の大きい住宅街が近くにある物件なども、ある程度買い手は見つかるでしょう。
また、買い手がどのようなテイクアウト専門店を開業するのかによって、売却しやすい物件の立地は変わってきます。
例えば、弁当屋などのテイクアウト専門店であれば、ランチタイムに多くの来客が訪れるオフィス街の物件が売却しやすいです。
一方クレープ屋など若者向けの店舗であれば、オフィス街よりも繁華街、学生街などの需要が高くなります。
デリバリーサービスがしやすい立地が有利
テイクアウト専門店の居抜き売却を行う場合、デリバリーサービスがしやすい立地の物件はとても有利です。
例えば大通りに面していたり、駅の目の前にあったりする物件は配達員が迷いにくいため、買い手には魅力的に映ります。
また、駐輪や駐車がしやすいこともポイントです。
店舗が細い路地に面している場合、車両の出し入れがしにくく、使い勝手が悪い物件というイメージを与えてしまいます。
このような物件を居抜き売却する際は、デリバリーサービス用の自転車など、備品を提供することで印象をアップさせることが大切です。
ある程度の広さがあった方が売却しやすい
テイクアウト専門店には客席が必要ないため、小規模の店舗でも開業できますが、ある程度の広さがあった方が居抜き売却はしやすいです。
あまりに狭い物件だと、スタッフの動線を確保するのが大変になるからです。
特に、テイクアウト専門店は少人数で経営することが多く、業務の効率化が重要です。
そのため、広さがある物件を居抜き売却する際は、広いことによるメリットを必ず伝えましょう。
ちなみに、商品を待つ顧客が通行人の邪魔にならないように配慮されていることも、買い手の印象をアップさせるポイントです。
厨房設備が豊富な物件は特に売れやすい
テイクアウト専門店を居抜き売却する際、厨房設備はなるべく多く揃っている方が有利です。
特に以下のような設備がある場合、どのような業態のテイクアウト専門店も営業しやすいため、買い手は付きやすいでしょう。
・スチームコンベクション
・ブラストチラー
・真空包装機
・冷凍ストッカー など
スチームコンベクションは、大量調理を目的とした厨房機器で、操作のほとんどがボタン操作です。
そのため、パートやアルバイトの従業員でも使いやすく、人気が高いです。
またブラストチラーは、スチームコンベクションなどで調理された食材を、短時間で急速に冷やすための冷機器です。
こちらも、作り置きなどを行うテイクアウト専門店では人気があります。
その他、食材を小分けにして真空パックにできる真空包装機、パックされた食材を長期間保管できる冷凍ストッカーなども需要が高いです。
テイクアウト用備品もあわせて売却すべき
テイクアウト専門店を居抜き売却するのであれば、テイクアウト用備品もあわせて売却することをおすすめします。
テイクアウトの場合、使い捨ての容器やカトラリーを用意する必要があります。
これらを用意するには当然コストがかかりますが、居抜き売却時にあわせて譲渡すれば、買い手は開業費用を削減できます。
もちろん使い捨てとはいえ料理を盛り付けたり、食べたりするときに使用するため、売却するのは状態の良い備品でなければいけません。
そのため、居抜き売却を検討する段階から、テイクアウト用の備品は衛生面に気を付けて保管しましょう。
製造業許可が取得できる環境を整備しよう
テイクアウト専門店の居抜き売却では、売却前に製造業許可が取得できる環境を整備しなければいけません。
商品の作り置きを前提とするテイクアウト専門店の場合、食品に応じた製造業許可が必要です。
具体的には、惣菜製造業や菓子製造業、アイスクリーム類製造業などです。
また、これらの製造業の取得条件はそれぞれ異なり、中には設備の条件も存在します。
そのため、売主は以下のような環境を整えておくことで、買い手の製造業許可の取得をアシストできます。
製造業許可 | 設備の条件 |
惣菜製造業 | 包装室の明るさを100ルクス以上に保つ など |
菓子製造業 | 冷蔵庫、冷凍庫を備える など |
アイスクリーム類製造業 | 製造室には手指消毒設備を設ける など |
まとめ
テイクアウト専門店の需要は、今後もしばらく減少しないことが予想されます。
そのため、居抜き売却の際、まったく買い手が見つからないということは考えにくいです。
ただし、テイクアウト専門店は、店舗の移り変わりも早いです。
前述したようなポイントを押さえておかなければ、廃業を考える別の売主に先を越されてしまう可能性は十分にあります。