居抜き物件での飲食店開業は、人生でそう何度も行うものではありません。
つまり、居抜き物件の内装・外装工事は初めて行う方が非常に多く、その分失敗も起こりやすいということです。
ここからは、居抜き物件の内装・外装工事でありがちな6つの失敗を見ていきたいと思います。
ゴールを決めずに失敗する
居抜き物件の内装・外装工事では、ゴールを決めずに失敗するというケースがよく見られます。
これから内装・外装工事をする方は、おそらく工事を実施して、その店舗を開業させるところをゴールだと考えているでしょう。
しかし、実際にはそれは間違いなのです。
内装・外装工事におけるゴールとは、その後にどのような飲食店経営をしたいかという目的を指しています。
具体的には、以下のような目的です。
・客単価が低く、回転の早い店舗を経営したい
・来客がゆっくりできる高級な店舗を経営したい
・店舗での料理提供とテイクアウトを両立したい など
これらのゴールが事前に定まっていない場合、開業自体はすぐにできるかもしれませんが、最終的に売れない飲食店、経営しにくい飲食店になってしまう可能性があるため、注意してください。
予算設定を間違える
居抜き物件の内装・外装工事では、予算設定を間違えるという失敗も起こりやすいです。
おそらく、内装・外装工事をする方の多くは、現時点の預貯金や年収、月々のランニングコストなどを加味して、内装・外装工事の予算を決定するかと思います。
しかし、この決め方は非常に危険だと言えます。
なぜなら、この決め方では、現時点では見えない費用が考慮されていないからです。
具体的には、以下のような費用です。
・修繕費用
・設備の追加費用
・賃料の値上げ部分 など
つまり、現在の年収や預貯金、月々の固定費だけを考慮し、内装・外装工事予算を組むと、後々上記の支出によって経営が苦しくなる可能性があるということです。
中古物件の購入に失敗する
居抜き物件の内装・外装工事は、中古物件を購入して行われることもありますが、こちらの購入で失敗するというケースも非常に多いです。
中古物件の購入時、築年数にばかり目が行く方もいるかと思いますが、こちらは少し危険です。
飲食店を開業するための物件を選ぶのであれば、しっかり耐震・耐久性をチェックしなければいけません。
具体的に言うと、その中古物件の管理状況、修繕状況、履歴を見ることで、どれくらい耐震・耐久性があるのかを把握できます。
逆に、築浅であっても管理や修繕がずさんな物件は、飲食店を開業するための物件として購入しないことをおすすめします。
建築業者選びに失敗する
居抜き物件の内装・外装工事では、建築業者選びに失敗するというケースも良く見られます。
内装・外装工事を依頼する建築業者は、必ず実績やアイデアを豊富に持っているところを選ばなければいけません。
このような建築業者であれば、さまざまな引き出しから、自身にピッタリの内装・外装工事のプランを提案してくれるでしょう。
また、建築業者選びで考慮したいのは、自身との相性です。
やはり、相性が良い建築業者(担当者)でなければ、きちんと自分の意見を伝えられません。
内装・外装工事は、少し意見を伝えられなかったり、イメージの相違があったりするだけで、仕上がりに大きな違いが出てしまうため、注意してください。
不注意で近隣住民に迷惑をかける
テナントビルなどの居抜き物件における内装・外装工事では、不注意で近隣住民に迷惑をかけるという失敗も起こり得ます。
床下の給水・給湯管、排水管などの老朽化は、簡単には把握できません。
しかし、そのまま老朽化していることを把握せずに購入し、内装・外装工事をすると、漏水によって階下の住人に迷惑をかける可能性があります。
もし、このようなことになってしまうと、せっかく内装・外装工事をした床を壊して配管を修繕したり、階下に与えた被害の大きさに見合った金銭を支払ったりしなければいけなくなります。
そのため、内装・外装工事用物件の購入時は、必ず配管をチェックし、少しでも古くなっている場合は、惜しみなく費用を使って交換しましょう。
思っていた仕上がりにならない
思っていた仕上がりにならないという失敗も、居抜き物件の内装・外装工事では非常に多く見られます。
中古物件の場合、経年による建物の変形などがあるため、寸分狂わず思い通りに仕上げるのは難しいです。
こちらは致し方ないことですが、「打ち合わせと違う壁の色になった」「思っていたよりキッチンが高い」といった失敗は、未然に防げます。
建築業者の担当者と何度も打ち合わせをしたり、仕上がり時の色や状態を業者の資料で確認したりしておけば、基本的に上記のような初歩的な失敗は起こりません。
まとめ
内装・外装工事の目的は経営しやすい、来客にとって魅力的な店舗をつくることですが、考慮しなければいけないことは他にもたくさんあります。
独特な造りにしすぎると、将来的な売却は困難になってしまいますし、賃貸の場合、実施できる工事の範囲は限られてしまいます。
もちろん、居抜き物件の内装・外装工事にかかる費用の相場も、事前に把握しておかなければ、失敗につながるおそれがあります。