居抜きの飲食店を経営する方の中には、従業員を雇用せず、自身のみで切り盛りしようと考えている方もいるかと思います。
しかし、こちらにはさまざまなデメリットがあるため、できる限り避けるのが無難です。
ここからは、なぜ一人で切り盛りをしない方が良いのかについて解説したいと思います。
飲食店を一人で切り盛りする“ワンオペ”について
飲食店などの店舗において、一人の従業員がすべての業務を担当しなければならない状況を“ワンオペ”といいます。
One Operation(ワンオペレーション)の略称です。
また、居抜きの飲食店においては、経営者の方が一人で店舗を切り盛りすることを指す場合もあります。
経営者の方が一人でこなせる程度の作業であれば、居抜きの飲食店はこのような形で経営しても問題ないように感じますが、決してそのようなことはありません。
一体なぜなのでしょうか?
居抜きの飲食店を一人で切り盛りしない方が良いワケ
居抜きの飲食店を一人で切り盛りしない方が良い一番の理由は、やはり経営者の方の負担を大きくしてしまうことです。
確かに、極端に集客が少ない時間帯で、なおかつ一人でこなせる程度の作業を任せる場合に関しては、それほど経営者の方の負担が大きくならないように感じます。
しかし、必ず同じ時間帯において、極端に集客が少ないとは限りません。
例えば、そのような時間に団体客が来店する可能性は十分にあります。
そのような場合、一人で店舗を切り盛りする経営者の方は、キャパシティーを超えた量の業務を行わなければいけないことも考えられます。
また、もし上記のような状況になると、経営者の方の体力、メンタルだけでなく、飲食店自体にも影響が及びます。
では次は、経営者の方の作業量が増えることが、どのように飲食店への悪影響につながるのかを見ていきましょう。
オーダーを取りに行けなくなる
居抜きの飲食店において、一人で切り盛りをする経営者の方の作業量が増えると、なかなか来客のオーダーを取りに行けなくなります。
これにより、飲食店は“オーダーを取りに来ない店”というレッテルを貼られてしまう可能性があります。
食事を楽しみにしている来客にとって、オーダーを取りに来ないことのストレスは計り知れないものがあります。
ドリンク、料理の提供が遅れる
居抜きの飲食店において、一人で切り盛りする経営者の方が忙しくなると、当然ドリンクや料理の提供速度も遅くなります。
こちらは、顧客満足度を大きく下げることに繋がりますし、特にドリンクの提供速度が重要な居酒屋などでは、その場で大きなクレームが発生することも考えられます。
また、ワンオペの場合、クレームが発生してもなかなか対応できず、後々より大きなトラブルに発展してしまう可能性も否めません。
来店に気づきにくくなる
居抜きの飲食店を一人で切り盛りする経営者の方は、作業量が増加することで、当然新しい客の来店にも気づきにくくなります。
つまり、来店しているにも関わらず挨拶がなかったり、席に誘導できなかったり、水やおしぼりを出せなかったりするということです。
飲食店の第一印象は、来店時の挨拶や対応が大きく影響するため、このような状況はできる限り避けなければいけません。
極端に来客が少ない時間帯の人員配置について
居抜きの飲食店では、極端に来客が少ない時間帯があったとしても、経営者の方が一人で切り盛りしてはいけません。
このような時間帯の正しい人員配置としては、経営者の方もしくは別の従業員が、調理や料理の提供以外の雑務(清掃など)を行い、状況に応じてキッチン、ホールをサポートするという形が望ましいでしょう。
もしくは、極端に来客が少ない時間帯すべてを中休みにし、効率的な経営を行うことをおすすめします。
メニューをシンプルにすることも一つの手
どうしても居抜きの飲食店を一人で切り盛りしたいという経営者の方は、サービスの質が低下しないような工夫をする必要があります。
また、そのアイデアの一つとして、メニューをできる限りシンプルにすることが挙げられます。
一人で切り盛りしている場合、来客ごとに調理方法がまったく異なるメニューを提供するのは大変です。
そのため、店舗のコンセプトにもよりますが、基本的にはラーメンのようなベースが同じ料理、コース料理などに特化したメニューを考案すべきです。
このように考えると、ラーメン屋や寿司屋などは、経営者の方一人であっても、比較的切り盛りしやすい業態だと言えます。
ただし、ラーメンでもスープやトッピングの種類を増やすと、作業量が増えてしまう可能性があります。
まとめ
ここまで、居抜きの飲食店を経営者の方が一人で切り盛りすることのデメリットを中心に解説してきました。
経営者の方の中には、自分の負担が大きくなる分には問題ないと考えている方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
経験や技術のある方であっても、急に忙しくなると経営は困難になります。
そのため、多少人件費がかかったとしても、営業時間は複数人で業務を回すようにしてください。