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居抜きの飲食店における“原価管理”の基本について

居抜きの飲食店は、スケルトン物件の場合と比べてイニシャルコストを削減することができます。
しかし、それで安心しきってしまい、開業後の細かい資金繰りをおろそかにすると、すぐに経営は立ち行かなくなってしまいます。
今回は、居抜きの飲食店における“原価管理”の基本について解説したいと思います。

目次

原価管理とは?

居抜きの飲食店における原価とは、料理に使用する食材やお酒など、各種材料費のことを指します。
また、こちらの費用を適切に管理するのが原価管理です。
居抜きに限らず、飲食店において原価は非常に重要な要素であり、無駄なく健全な経営を行うためには、原価を抑える、つまり原価率を下げるための工夫が必要不可欠です。

居抜きの飲食店における原価管理の必要性

なぜ、居抜きの飲食店において原価管理が必要なのかというと、原価管理を行うことは、直接利益につながるからです。
飲食店を経営するにあたっては、当然利益を上げなければいけませんが、利益を上げるためには、売上を上げて経費の数字を繊細に管理することが重要です。
しかし、飲食店を経営する方の中には、ついつい売上を上げることに一生懸命になりすぎてしまい、原価管理がおろそかになり、せっかく売上が上がったにもかかわらず、利益が変わらないという状況に陥る方も多いです。
もちろん、闇雲に原価率を下げるのが原価管理なのかというと、その認識は正しくありません。
ただ原価率を下げるだけでは、基準通りの料理が提供されなくなるため、来客の評判は下がってしまいます。
では、居抜きの飲食店において適切な原価管理を行うには、一体どうすれば良いのでしょうか?

居抜きの飲食店における原価管理の方法

居抜きの飲食店において原価管理を行うには、以下のことを実践すべきです。

・仕入れ原価率の算出
・理論原価率の算出
・仕入れ原価率、理論原価率の差のチェック

仕入れ原価率の算出

仕入れ原価率とは、その名の通り、実際に商材を仕入れ、使用した原価のことをいいます。
以下の計算式で算出することができます。

・(その月の仕入れ額+前月から繰り越した棚卸額-翌日に繰り越す棚卸額)÷売上×100

仕入れ原価率を算出する際には、必ず棚卸を考慮しなければいけないため、月末の棚卸は絶対に欠かせません。

理論原価率の算出

理論原価率とは、すべてレシピ通りに商品が提供できたと家庭したときの原価率をいいます。
以下の計算式で算出することが可能です。

・レシピ通りに作ったときの原価の累計÷売上×100

仕入れ原価率、理論原価率の差のチェック

仕入れ原価率と理論原価率が算出できたら、次にこれらの差をチェックします。
きちんとレシピ通りに商品を提供できていた場合、仕入れ原価率と理論原価率は一致します。
つまり、適切な原価管理ができているということです。
しかし、これらの原価率がピッタリ一致していたとしても、すべての商品がレシピ通りに作られたという確認にはなりません。
理論原価率は、あくまでもすべての商品のアベレージです。
例えば、ビール、日本酒ともにレシピの原価(理論原価)が200円だった場合、ビールを規定の量より1/4減らし、原価150円で提供、日本酒を規定の量より1/4増やし、原価250円で提供しても、2つの理論原価は計400円であり、理論原価率と仕入れ原価率は一致します。
そのため、本来は商材ごとの使用量分析である理論材料値まで確認することが、本当の意味での原価管理だと言えます。

理論材料値について

先ほど、居抜きの飲食店における原価管理では、理論材料値まで確認することが重要だという話をしました。
こちらは、例えばカレーを作る場合、牛肉、ニンジン、ジャガイモ、スパイス類など、それぞれの使用量をレシピ化し、店舗で販売された個数から、それぞれの材料がどれくらい使用されたかまで確認することを指しています。
このように、それぞれの商材の理論値、使用量を比べることによって、例えば「今月、原価にブレが出ているのは、牛肉を大量にロスしてしまったせいだ」というように、ブレの要因を商材単位で把握することができます。
ただし、ここまで居抜きの飲食店における原価管理を徹底するのは極めて大変であるため、実践している飲食店はごく少数です。
もし、ここまで原価管理を徹底するのであれば、必ずITの力が必要になります。
例えば、飲食店専用のPOSレジになどには、理論材料値の算出が可能なものもあります。
システムとしては、クラウドサービスにレシピを登録し、POSレジから商品の出数を返すことにより、どの商材を何g使用したかという理論値がわかるというものです。
さらに、そこに仕入れと棚卸の情報を入れることができる場合もあります。

まとめ

ここまで、居抜きの飲食店における原価管理の基本について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
日々貪欲に利益を追求しなければいけない飲食店にとって、原価管理は必要不可欠なものです。
居抜きの飲食店を開業した直後は、目先の売上に躍起になってしまうこともあるかと思いますが、長く経営を続けるためには、冷静な分析と適切な工夫が求められます。

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