居抜きでの飲食店開業には、コストカットや開業までの時短効果が期待できます。
しかし、新たに飲食店を開業することには変わりないため、どれだけ環境が揃っている居抜き物件であっても、メニューづくりは一から行わなければいけません。
今回は、居抜きの飲食店におけるメニューづくりのポイントを解説します。
居抜きの飲食店におけるメニューづくりのポイント3選
居抜きの飲食店においてメニューづくりを行う際は、主に以下のポイントを押さえる必要があります。
・メニュー全体数の決め方
・カテゴリごとのメニュー数の決め方
・目的を持ったメニューのグループ分け
メニュー全体数の決め方
居抜きの飲食店においてメニューを作る際には、まずメニューの全体数を決定しなければいけません。
メニューの全体数は、基本的に少なければ少ないほど良いです。
仕入れロス、在庫ロス、仕込み作業、従業員の労働時間など、すべての要素において、メニューの数が少ない方が有利に働きます。
しかし、多くの飲食店では、少ないメニューだと顧客に飽きられてしまい、集客が難しくなるため、メニューの全体数は根拠を持って決めることが大切です。
具体的な方法としては、業態から決める方法がおすすめです。
居抜きの飲食店の業態は、専門店、総合店、カテゴリ専門店に分けられます。
専門店とは、ラーメン屋やうなぎ屋、もつ鍋やなど、売りになる商品をなるべく限定し、「その商品は間違いなく美味しいので、食べたくなったら当店に来てください」というスタンスを取っている飲食店を指します。
このような飲食店は、店舗の規模を小さく、メニューの数を少なくする代わりに、1品1品のクオリティーを上げ、商品の単価を高くし、料理の味を集客の肝とします。
また、総合店は、さまざまな食材を用い、さまざまな調理方法で料理された、多くのメニューがあることを売りにしている飲食店です。
商品の単価を下げ、集客のポイントを接客サービスや環境設備に置くのが特徴です。
そして、カテゴリ専門店は、焼肉屋や沖縄料理屋、串焼き専門店など、メニューではなく、食材や産地、調理方法や食べ方などのカテゴリに分けて専門店化している飲食店です。
こちらは、専門店と総合店の中間に位置しますが、そのカテゴリ内で専門性を高めていくのか、総合店化していくのかを明確にし、どちらかに合わせたメニューの数に設定することが大切です。
カテゴリごとのメニュー数の決め方
居抜きの飲食店におけるメニューづくりでは、メニューの全体数を決めた後、カテゴリごとのメニュー数も決定しなければいけません。
こちらに関しては、居抜きで飲食店を開業し、数ヶ月程度経営を行った上で決定するのが理想的です。
具体的には、過去1ヶ月の個別商品の出数、各カテゴリでの商品の出数累計を算出します。
例えば、メニューの全体数が100種類の飲食店において、カテゴリが前菜、刺身、焼き物、揚げ物、デザートの5種類に分かれているとします。
また、これらのカテゴリにおける過去1ヶ月の出数累計が以下である場合、カテゴリごとの適したメニュー数は、そのパーセンテージに合ったものになります。
カテゴリ 過去1ヶ月の出数累計 適したメニュー数
前菜 30% 30種
刺身 20% 20種
焼き物 25% 25種
揚げ物 15% 15種
デザート 10% 10種
目的を持ったメニューのグループ分け
居抜きの飲食店におけるメニューづくりでは、目的を持ったメニューのグループ分けも行う必要があります。
ここでいうメニューのグループとは、以下の3つを指しています。
・売り商品
・原価商品
・品揃え商品
売り商品とは、「この商品を注文してもらえれば、顧客に良い評価をしてもらえる」という商品を指しています。
当然、こちらは味が良いことはもちろんのこと、価格においても魅力的ではなければいけません。
コストパフォーマンスが良くて初めて、顧客に評価される売り商品となり、繁盛店には必ずこちらの売り商品が存在します。
また、原価商品とは、多くの顧客が好み、ついつい注文をしてしまうものの、原価が圧倒的に低いメニューのことを言います。
つまり、売れば売るほど、飲食店にたくさんの利益をもたらしてくれるメニューだということです。
最後に、品揃え商品ですが、こちらはさまざまな食材、味付け、調理方法のメニュー、子ども用のメニューなどを指しています。
ちなみに、品揃え商品には、激辛メニューや特大料理など、大人数で楽しめるメニューや、パクチーなど、ハマっている人が一定数いるものの、専門店にするほどではない食材のメニューも含まれます。
上記のように、どのメニューがどのような役割、目的を持っているのかを明確にし、グループ分けすることで、より無駄の少ないメニューが完成します。
まとめ
ここまで、居抜きの飲食店におけるメニューづくりの主なポイントを解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
今回解説したポイントはほんの一部であり、このほかにもメニュー表のデザインやレイアウトなど、押さえておきたいポイントはたくさんあります。
また、居抜き開業後の飲食店でも、メニューの改良は逐一実施していかなければいけないため、常に売上に関する細かいデータは取っておくべきです。