居抜きで飲食店を開業する際は、さまざまな選択肢から店舗物件を探します。
通常、居抜き物件を借りるのであれば、テナントビルやオフィスビル内のテナントを借りるのが一般的ですが、居住用であるマンションの居抜き物件において、飲食店を開業することはできるのでしょうか?
詳しく解説します。
マンションの居抜き物件で飲食店は開業できる?
結論から言うと、マンションの居抜き物件でも飲食店を開業させることはできます。
飲食店を開業させるためには、営業許可を取る必要がありますが、マンションでは許可が取れないというようなルールは存在しません。
そのため、以下の要件をクリアしている居抜き物件の場合、マンションでも飲食店を開業できるということになります。
・キッチンにシンクが2台以上ある
・キッチンと客席が区分されている
・キッチンとトイレに手洗いがある
・冷蔵庫がある
・扉が付いた収納設備がある
最初から要件をクリアしている物件はほとんどない
先ほど、営業許可さえ下りれば、マンションの居抜き物件でも飲食店を開業できると解説しました。
しかし、マンションの場合、最初から前述の要件をクリアしている物件はまずありません。
そのため、飲食店を開業させるには、必ずと言っていいほどその物件を改装する必要があります。
また、このとき問題なのが、改装が認められている賃貸物件というものが、ほとんど存在しないということです。
つまり、マンションの居抜き物件で飲食店を開業させるということは、法律上不可能ではないにしろ、実際はかなりハードルが高いということです。
ちなみに、マンションの賃貸借契約書には、必ず使用目的というものが記載されています。
ほとんどの場合、こちらは居住目的になっていて、もし規約を無視して飲食店を経営してしまったら、規約違反で退去を求められたり、場合によっては損害賠償請求の対象になったりしてしまうため、注意しなければいけません。
マンションの居抜き物件で飲食店を開業させることのメリット
マンションの居抜き物件での飲食店の開業は、とてもハードルが高いという話をしました。
ただし、改装が認められている物件が見つかり、なおかつ改装によって営業許可を取ることができた場合、マンションの居抜き物件での飲食店の開業も、選択肢の1つとして考えるべきです。
では、ここからは、マンションで飲食店を開業させることにどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
・路面店として開業できる
・入居者が来店してくれる可能性がある
こちらは、マンションの居抜き物件で飲食店を開業する場合に限ったことではありませんが、もしマンションの1階で飲食店を開業できるのであれば、路面店としての恩恵を受けることが可能です。
路面店は接する道路から見えやすく、入店もしやすいため、飲食店にとっては非常に条件の良い物件です。
また、マンションの居抜き物件で飲食店を開業すれば、そのマンションの入居者が来店してくれる可能性があります。
飲食店に訪れる来客にとって、家から近いというのは重要な条件であり、ましてや居住するマンションに飲食店があるとなれば、入居者にとっては非常に魅力的です。
一度入居者の心を掴めば、一気に複数のリピーターを獲得することにもつながります。
マンションの居抜き物件で飲食店を開業する場合に注意したいこと
マンションの居抜き物件で飲食店を開業する場合は、ゴミの臭いで入居者に迷惑を掛けないように注意しましょう。
また、調理をする際のニオイに関しても、入居者が快く思わないことがあるため、排気設備の適切な設置、稼働には細心の注意を払ってください。
ちなみに、1階だけでなく、マンションの上層階で飲食店を開業できる場合もあります。
ただし、上層階で飲食店を開業させる場合、マンションの中に不特定多数が出入りすることになり、入居者がセキュリティ面などで不安に思うことが予想されるため、あまりおすすめできません。
入居者とのコミュニケーションを忘れずに
マンションの居抜き物件での飲食店開業は、やはり入居者を味方につけることが重要です。
そのため、早い段階から味方になってもらえるよう、働きかけるのがポイントです。
具体的には、入居者にのみ特別割引を用意したり、入居者専用のポイントカードを作ったりするなどして、良好な関係を築けるように工夫しましょう。
また、普段から入居者と積極的にコミュニケーションを取り、人として良いイメージを持ってもらうことも大切です。
どれだけ美味しい料理を提供する飲食店であっても、店主の人柄に難がある場合、来客としての入居者はなかなか集まりません。
まとめ
ここまで、マンションの居抜き物件で飲食店を開業するという選択肢について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
マンションの居抜き物件で飲食店を開業させることで、他の店舗物件にはないさまざまなメリットが生まれます。
しかし、改築が必要だったり、改築可能な物件が見つかりにくかったりと、開業のハードルは圧倒的に高いため、あくまで最優先すべき選択肢ではないと考えておきましょう。