初めて居抜き物件を譲渡しようとする方の中は、譲渡費用の相場について、イマイチピンと来ないという方もいるでしょう。
しかし、譲渡費用相場を把握していなければ、適切な費用を算出できず、なかなか買い手がつかないという状況にもなりかねません。
そのため、この機会にぜひ知識を必要な知識を身に付けておきましょう。
譲渡費用相場における基本
居抜き物件の譲渡費用相場は、賃料が高くニーズがあるエリアほど高くなる傾向にあります。
なぜなら、このようなエリアでは、居抜き物件の需要より供給の方が少ないケースが圧倒的に多いからです。
つまり、多少高い譲渡費用でも、買い手はつきやすいということです。
例えば、横浜市内で言うと、日吉や桜木町、あざみ野といったエリアが該当します。
一方、たとえ都市部であったとしても、大通りの1本中にあったり、駅から徒歩7分以上の距離にあったりする居抜き物件は、譲渡費用相場が低くなりやすいです。
その理由としては、先ほど触れたような人気エリアと比較すると、居抜き物件の需要より供給が多いことが挙げられます。
また、エリアを絞らなければ、買い手は他のエリアでもっと好条件の居抜き物件を取得できる可能性があるため、売り手は迂闊に譲渡費用を高く設定できないのです。
譲渡費用相場に影響する要素
先ほど、賃料が高く人気のエリアは居抜き物件の譲渡費用相場が高く、人気が劣れば劣るほど、相場は低くなるという話をしました。
では、譲渡費用相場に影響する要素には、他にどんなものが挙げられるのでしょうか?
まずは、譲渡費用相場が低くなりやすい要素を見ていきましょう。
清掃が不十分
清掃が不十分な居抜き物件は、買い手に与える魅力が半減してしまい、譲渡費用相場を下げやすい傾向にあります。
開店から10年以上経っている
開店から10年以上経っている居抜き物件は、設備の故障リスクが高く、なかなか好条件では譲渡できません。
故障した設備が含まれている
すでに故障した設備が含まれる居抜き物件は、買い手自身が開業するまでに修理したり、入れ替えたりする手間があるため、あまり譲渡費用が上がりません。
一方、譲渡費用が高くなりやすい要素には、以下のものが挙げられます。
開業から2年以内
開業してからまだ2年以内の居抜き物件は、建物や設備の状態が比較的良く、譲渡相場も高くなりやすいです。
看板の設置可能面積が広い
看板の設置可能面積が広い居抜き物件も、譲渡価格は上がりやすいです。
なぜなら、大きな看板を設置できる店舗の方が集客しやすいですし、買い手が掲示する看板の選択肢も広がるからです。
上記のように、譲渡価格が高くなりやすい要素と、立地の良さを両方兼ね備えている居抜き物件であれば、平均の10倍ほどの価格で譲渡できる可能性もゼロではありません。
居抜き物件の買い手は基本的に“初期費用を抑えたい人”
そもそも、居抜き物件の需要がある理由は、設備や造作に費用をかけず、スムーズに店舗を開業したい買い手が多くいるからです。
そのため、居抜き物件を譲渡する売り手の方は、“居抜き物件の買い手=初期費用を抑えたいと考えている”ということを忘れてはいけません。
つまり、高く譲渡することばかり考えていると、買い手どころか内見者すらも集まらなくなってしまうということです。
そうなってしまうと、閉店したくてもなかなか閉店できないといった事態に陥りかねません。
【番外編】居抜き物件を譲渡する際の注意点
自身の居抜き物件が高く譲渡できる条件を満たしていたとしても、勝手に判断をして買い手探しをしてはいけません。
飲食店などが物件の契約を結ぶ際、大抵はオーナー(大家さん)と契約を結びます。
しかし、居抜き物件の譲渡に関しては、オーナーではなく新入居者(買い手)と交渉することになります。
このとき、オーナーと契約していることをないがしろにし、第三者である買い手と居抜き譲渡の交渉をするケースが見られますが、当然無断での譲渡はできません。
もっと言えば、オーナーと交わした賃貸借契約書の中に、“造作譲渡を禁止する”という記載がある場合、無断でなくても譲渡が認められない可能性があります。
このような場合、スケルトン状態に戻した上での退去しかできないため、注意してください。
その他、居抜き物件を譲渡するのであれば、改装をした際の図面や、設備の保証書などをしっかり用意し、買い手に提出することも心掛けましょう。
こうすることで、内装や設備に不備がないことをある程度証明でき、買い手は修理や処分のための出費がかさむ心配がないため、安心して居抜き物件を買い取ってくれます。
まとめ
ここまで、居抜き物件の譲渡費用相場について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
居抜き物件は基本的に需要が高い物件ですが、どのようなエリアでも高い価格で譲渡できるわけではありません。
また、好立地だからといって、必ずしも譲渡費用相場が上がるとは限りませんので、注意しましょう。
もちろん、買い手の交渉によって、譲渡費用が増減することも忘れてはいけません。