居抜き物件を選ぶ際には、立地や設備、賃料などさまざまな要素をチェックする必要があります。
また、レイアウトに関しては、最初から希望通りの物件を選ぶのも良いですし、場合によっては少し手を加えても構いません。
今回は、居抜き物件のレイアウトを考えるときに考慮すべき数字について解説します。
居抜き物件のレイアウトを考える際に考慮すべき数字4選
開業後、すぐに経営を軌道に乗せるためには、自身の開業しようとする業態に合ったレイアウトの居抜き物件を借りるか、もしくは作り上げる必要があります。
また、このときには、以下の数字を考慮する必要があります。
・席数
・客単価
・回転数
・テーブルのサイズ
席数
居抜き物件のレイアウトを考えるにあたって、席数は必ず考慮しなければいけない数字の1つです。
席数とは、文字通り店舗における席の数であり、どのような飲食店を開業するのかによって、必要数の目安が変わってきます。
一般的には、1坪につき2.0席程度を設けるべきですが、大衆型の店舗であれば1坪あたり2.5~2.7席程度、高級志向で来客にゆったりと過ごしてもらう店舗の場合は、1坪あたり1.5~1.7席程度が目安になります。
客単価
居抜き物件のレイアウトを考える際には、客単価も考慮すべきです。
客単価とは、来客1人が1回の来店につき、支払う平均額のことをいいます。
多業種においては、来店しただけで購入にまで至らなかった来客を計算から除外するなど、少し複雑な計算が必要になりますが、飲食店の場合、何も飲食せずに退店する来客は基本的にはいないため、比較的計算はしやすいと言えます。
また、客単価の計算は、飲食店の売上を来客数で割ることで算出されますが、開業当初に売上や利益を定めた場合、客単価が低いことが判明すれば、席数が多めのレイアウトにする必要がありますし、逆に客単価が高ければ、ある程度席数が少なくても良いということになります。
回転数
回転数も、居抜き物件のレイアウトを考える際に考慮すべき数字の1つです。
回転数とは、1日にその座席を何人の来客が使用したかという数字であり、仮に50席ある飲食店において、1日に訪れた来客の数が150人だった場合、回転数は3ということになります。
一般的に、客単価の低い飲食店では、とにかく回転数を上げて利益を出す方法、客単価の高い店舗では、回転数にそこまでこだわらず、確実に1回転で全座席分の来客を確保し、利益を出す方法が用いられています。
しかし、賃料が高い居抜き物件の場合は、たとえ客単価が高かったとしても、多くの席数を確保し、なおかつ回転率を上げるようなレイアウトを考えなければいけません。
テーブルのサイズ
居抜き物件のレイアウトを考える際には、テーブルのサイズに関してもきちんと考慮する必要があります。
適したテーブルのサイズは、飲食店の業態によって大きく異なります。
例えば、居酒屋などグループの来客が訪れることの多い業態では、サイズの大きいテーブルが複数必要になるケースが多いです。
逆に、カフェなどの業態では、大きなテーブルが用いられることはあまりなく、ほとんどが1~2人用のサイズになります。
また、テーブルのサイズに関しては、業態やレイアウトだけでなく、前述した客単価や回転数も考慮して決定すべきです。
一般的に、客単価が低く、回転数を上げなければいけない飲食店では、小さめのサイズのテーブルが必要になります。
一方、客単価が高い飲食店は、数多くの料理や飲み物を載せるためにも、大きめのテーブルが必須になります。
厨房のレイアウトを考える際に考慮すべきこと
居抜き物件で飲食店を開業する場合には、客席だけでなく、厨房のレイアウトについても考えなければいけません。
厨房のレイアウトは、ずばり飲食店における主力のメニューを軸に考えることが大切です。
主力のメニューとは、人気や利益率が高いメニューのことをいい、飲食店において1日に何度も注文されることが予想されます。
こちらの注文を素早くさばくことができれば、より高い利益を上げることにつながります。
そのため、ガス台やレンジ、皿や食材の保管場所、客席までの動線などについては、主力のメニューを調理するときのことを考えてレイアウトしましょう。
逆に、厨房のレイアウトが悪い場合、料理がしづらく、効率良く高品質な料理をつくることができなくなってしまいます。
ちなみに、飲食店には主力のメニューだけでなくサイドメニューもありますが、これらをあわせて提供する場合は、また厨房のレイアウトの仕方が変わってくるため、まずはメニュー構成からきちんと考える必要があります。
まとめ
ここまで、居抜き物件のレイアウトを考えるときに考慮すべき数字を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
居抜き物件での飲食店開業における1つの売りは、スケルトン物件よりもイニシャルコストを削減できるという点です。
しかし、コストをかけたくないがために、既存のレイアウトで妥協してしまうと、開業後すぐに大きな壁にぶつかってしまう可能性があるため、注意してください。