飲食店の居抜き物件は、都心部や郊外、地方にかかわらず、さまざまなエリアに見られます。
では、飲食店の居抜き売却を決断する方の主な目的には、主にどのようなことが挙げられるのでしょうか?
これから居抜き物件での店舗開業を考えている方は、事前に把握しておきましょう。
居抜き売却を決断する方の主な目的5選
飲食店の居抜き売却を決断する方の背景には、主に以下のような目的があります。
・経営不振に伴う利益獲得
・年齢、体力的な問題の解決
・改修、修復の問題解決
・近隣トラブルの回避
・移転
経営不振に伴う利益獲得
飲食店の居抜き売却を行う方のほとんどは、経営不振を理由に店舗を売却し、利益を得ようとすることを目的としています。
例えば、事前にチェックしていたはずの立地でいざ店舗をオープンさせると、まったく客足が伸びなかったというケースは往々にしてあります。
また、飲食店では、インパクトのあるメニューを提供できなかったなどの理由で、なかなか常連客がついてこなかったという事例も少なくありません。
その他、経営不振には、単純に景気が悪くなることによって赤字が出続けてしまうということや、数年前から猛威を振るっている新型コロナウイルスのような、至って特殊ものが原因の場合もあります。
居抜き売却を行うことで、買主から造作譲渡料を受け取った売主は、こちらの利益を生活資金や新たなビジネスに回すことができます。
年齢、体力的な問題の解決
飲食店の居抜き売却を行う方の中には、自身の年齢や体力的な問題を解決するために、物件を売却することが目的の方もいます。
こちらは、店舗の経営状況は順調だったものの、体力的に店舗を経営することが難しくなるというケースを指しています。
飲食業界だけに限ったことではありませんが、後継者が見つからないという店舗は非常に多く、泣く泣く居抜き売却を決断するという事例も決して珍しくありません。
また、その他にも、まだ身体が元気なうちに飲食店の居抜き売却を行い、ある程度老後資金を確保しておくことが目的の方もいます。
改修、修復の問題解決
長い期間店舗を経営してきた方によくあるケースですが、改修や修復にかかる莫大な費用をカバーすることを目的に、居抜き売却を決断するという方もいます。
こちらは、既存の店舗を改修、修復すると莫大な費用がかかることから、思い切って居抜き売却を行い、得た利益を元手に別店舗で飲食店経営を再開させるというケースです。
また、これまで何度も店舗の改修や修復を繰り返してきた経営者の方であれば、その物件がそろそろ限界だということを把握することができます。
よって、そのような方は、「今改修や修復を行っても、またすぐに同じような費用がかかる」というタイミングで居抜き売却を行い、今後かかることが予想されるランニングコストを削減しようとすることもあります。
近隣トラブルの回避
飲食店の居抜き売却を行う方の中には、発生した近隣トラブルの回避を目的としている方もいます。
飲食店における近隣トラブルには、経営に伴って発生する音や来客の声が騒音となり、近隣からクレームが来るケースや、調理の際に発生するニオイや煙に対してクレームが来るケースなどがあります。
また、これらのトラブルが大事に発展すると、飲食店経営における大きな足枷となり、場合によっては行政指導などが入り、営業停止になることも考えられます。
このような状況になる前に、居抜き売却を行って飲食店を廃業したり、別の立地に移ったりする方は少なからず存在します。
移転
飲食店の居抜き売却を決断する方の中には、店舗の移転が目的の方もいます。
飲食店の移転は、主に立地改善や規模の縮小、拡大を目的に行われますが、こちらには膨大な手間と費用がかかります。
そのため、少しでも費用を確保すべく、既存の物件を居抜き売却し、移転を行うという方も少なくありません。
また、一度居抜き売却をしてしまうと、移転先で必要な什器などが不足してしまう可能性があるため、居抜き物件から居抜き物件への移転を行うという方もいます。
居抜き開業する際は必ず売却理由を聞いておこう
今後飲食店の居抜き開業をしようと考えている方は、前経営者の方がどのような目的で居抜き売却を行おうとしているのかについて、不動産会社に聞いたり、前経営者の方に直接質問したりしておくべきです。
また、このとき経営不振や近隣トラブルの回避が目的だと判明した場合は、自身も同じような目に遭う可能性があるため、別の居抜き物件を探すことをおすすめします。
ちなみに、近隣トラブルについては環境的瑕疵に該当し、売主に告知義務があります。
まとめ
ここまで、飲食店の居抜き売却を行う方の主な目的について解説してきました。
居抜き売却を行う理由のほとんどは、「経営を続けたくても続けることができない」ということにカテゴライズされます。
ただし、居抜き売却は決してネガティブなものではなく、新しいスタートを切るための有効な手段です。
そのため、居抜き開業を目指す方は、今後自身経営や資金繰りなどに苦しんだときの選択肢として、覚えておくことをおすすめします。