カラオケ設備がある居抜き物件での飲食店開業について

バーやスナックなどの居抜き物件には、厨房設備やカウンター、テーブルといったものだけでなく、カラオケ設備が残っている物件もあります。
では、カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業する際には、一体どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか？
詳しく解説します。

カラオケ設備とは？

カラオケ設備とは、文字通り来客がカラオケをするための設備であり、具体的には以下のようなものを指します。

・通信カラオケ本体
・マイク
・スピーカー
・アンプ
・電子目次本
・モニター
・ネット回線
・通信カラオケ用ルーター など

これらのカラオケ設備が一通り揃っている居抜き物件で飲食店を開業する場合、当然設備をそのまま活用し、サービスとして来客にカラオケを提供することが可能です。

カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業するメリット

カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業することにより、客単価の向上が期待できます。
こちらは、来客がお酒や食事を楽しむ時間にカラオケを楽しむ時間が追加されることで、滞在時間が長くなることが理由です。
滞在時間が長くなれば、必然的にお酒やフードメニューのオーダー数も増加し、客単価や売上のアップにつながります。
また、カラオケ設備がある居抜き物件での飲食店開業には、団体客を獲得しやすくなるというメリットもあります。
現在、カラオケと言えばカラオケボックスがメインとなっているため、カラオケ設備のある飲食店はかなり減りつつありますが、ニーズがないというわけではありません。
特に、中高年のサラリーマンなどには、カラオケ設備が付いている飲食店を探して来店する方も少なからず存在します。
このような方々は、同僚と団体で訪れる可能性が高いです。

カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業する際の注意点

カラオケ設備がある居抜き物件でバーやスナックを開業しようとする場合、以下の点には注意が必要です。

・風営法の許可について
・深夜営業について
・騒音、振動対策について

風営法の許可について

カラオケ設備が付帯した居抜き物件で飲食店を開業する場合、来客から「一緒にカラオケを歌ってほしい」と頼まれることがあります。
しかし、こちらは接待行為に該当するものであるため、風営法の許可を取っていなければ行ってはいけません。
また、店舗側が来客に働きかけ、遊び興じさせる行為を遊興行為といいますが、こちらも実施には風営法の許可が必要です。
接待行為や遊興行為には以下のようなものが挙げられるため、事前に把握しておきましょう。

風営法の許可を取らずに以下の行為を行った場合、飲食店は営業停止処分になったり、経営者が逮捕されてしまったりすることもあります。
ちなみに、以下の行為は接待行為には該当しないため、風営法の許可がなくても問題ありません。

・オーダーを受けたお酒をカウンター越しに提供する行為
・お酒を注いだり、お酒を作ったりして、すぐ来客のもとを離れる
・不特定多数の来客に対し、歌やダンスを披露する行為 など

深夜営業について

先ほど、カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業する場合、風営法の許可がなければ接待行為ができないという話をしました。
言い換えると、風営法の許可を取っている場合、接待行為が許されるということになりますが、風営法（Ⅰ号）許可を持つ店舗は、深夜0時までしか営業できません。
つまり、深夜0時までしかカラオケを提供することもできないということです。
しかし、前述した接待行為や遊興行為を一切行わない店舗は、そもそもカラオケが設置されていたとしても、風営法許可を取る必要がないため、深夜0時を過ぎても営業することが可能です。
ただし、深夜営業でお酒を提供する場合は、深夜における酒類提供飲食店営業の届出という別の申請が必要になります。

騒音、振動対策について

カラオケ設備がある居抜き物件で飲食店を開業する場合、騒音や振動対策についても考慮しなければいけません。
騒音や振動に関しては、風営法や各自治体の条例により、規制基準の数値が定められているため、その基準を超えないような工夫が必要です。
また、基準を守って営業していたとしても、近隣住民や他店からクレームが来る可能性はあるため、開業時の挨拶や日頃の交流などにより、トラブルが起こりにくい環境を構築するのも大切です。

まとめ

ここまで、カラオケ設備が付帯する居抜き物件での飲食店開業について解説しましたが、いかがでしたでしょうか？
カラオケ設備一式を一から揃えようと思うと、コストや手続きの負担は大きくなるため、開業後に活用するつもりなのであれば、最初から設備がある居抜き物件で開業すべきです。
ただし、たとえ居抜き物件であっても、許可を取ったり、法律を遵守した経営を行ったりしなければいけない点は変わりません。