飲食店の居抜き物件は、すべてが1階にあるとは限りません。
特にオフィス街や繁華街など、一般的に好立地とされるエリアには、“空中店舗”の居抜き物件も数多くあります。
今回は、空中店舗の概要とあわせて、このような居抜き物件で集客するための戦略について解説したいと思います。
空中店舗の概要
ビルなどの建物の2階以上にある店舗のことを空中店舗といいます。
道路に面した建物の1階にある路面店(路面店舗)から見て、その空中にあるという意味でこう呼ばれています。
一定の通行量がある通り沿いの雑居ビル、フロア面積が狭いオフィスビルなどにおいては、こちらの呼称が用いられますが、人の動線が周到に設計された商業施設、ショッピングモールなどにおいては、空中店舗という呼称を使用しません。
このようなビルの2階以上の階は、空中階と呼ばれています。
一般的に、空中店舗よりも路面店の方が、飲食店を開業する居抜き物件としては優れているとされています。
なぜなら、空中店舗は店舗の存在をアピールしにくく、なおかつ入店までに階段やエレベーターを使う必要があるからです。
一方で、空中店舗の居抜き物件は、路面店と比べて賃料が安い傾向にあります。
空中店舗の居抜き物件における集客戦略5選
空中店舗の居抜き物件で飲食店を開業しようとする方は、路面店に限りなく近い集客を実現するために、以下のような工夫をしましょう。
・道路から店内を見やすくする
・ファザードを1階に設置する
・他の店舗との差別化を図る
・階段に広告物を設置する
・店舗の入口をわかりやすくする
道路から店内を見やすくする
空中店舗の居抜き物件では、とにかく道路から店内を見やすくすることが大切です。
やはり何の業種、業態の店舗なのかを外から見てわかるようにしなければ、一見さんは来店しにくくなります。
具体的には、道路に面した壁をガラス張りにするなどの工夫を実施しましょう。
ただし、一からこのような形に改装するのはコストがかかるため、初めからある程度視認性が高い居抜き物件を選ぶのが望ましいです。
ファザードを1階に設置する
空中店舗の居抜き物件で集客力をアップさせるには、ファザードを1階のエントランスや階段付近に設置することも重要です。
1階にファザードがあることにより、ビルの前を通り過ぎる方が店舗の存在に気付く場合があります。
ただし、ビルの共用部分には、設置規制があることも考えられます。
そのため、事前に貸主に確認し、ファザードが設置できないとなった場合、その居抜き物件への入居は考え直すべきです。
他の店舗との差別化を図る
空中店舗の居抜き物件では、他の店舗との差別化を図り、集客を増やすことも大切です。
特に、居酒屋など同じ業種の店舗が複数入っているビルの場合、差別化ポイントを強調して誘引しなければ、なかなか競争を勝ち抜くことはできません。
また、看板製作に際しては、不安感を取り除く要素(内装写真、メニュー内容、料金など)をきちんと記載すべきです。
階段に広告物を設置する
ビルの構造によっては、階段に広告物を設置し、通行人の方を空中店舗に誘引できる可能性があります。
ただし、複数店舗や住宅との共用階段で、広告物に規制がある場合は、1階のファザード看板と同じく設置するのが難しくなります。
店舗の入口をわかりやすくする
空中店舗の居抜き物件では、店舗の入り口をわかりやすくして、集客につなげることも考えましょう。
例えば、ビルの外側に階段があり、それがそのまま2階の空中店舗につながっているような構造であれば、階段の側面に大きく店名を記載したり、2階の看板と階段のカラーを合わせたりすることで、入口がわかりやすくなります。
しかし、雑居ビルやオフィスビルの中には、ビルの場所自体がわかりにくいものもあります。
このようなビルの居抜き物件は、上記のような対策を取っても効果が薄いため、物件選びの段階で敬遠すべきです。
空中店舗の居抜き物件が向いている業態
空中店舗の飲食店には、「落ち着いて食事を楽しみたい」「お祝いに利用したい」「ビジネスの商談がしたい」など、特別感のある空間を求めている方が訪れやすいです。
そのため、客単価が高く、なおかつ滞在時間が長めのバーやレストラン、和食店などの開業には適していると言えます。
ちなみに、飲食店以外でいうと、ネイルサロンや美容室、マッサージ店なども空中店舗での開業に向いています。
このような業態の店舗は、一度顧客がつけば定期的な来店が見込めるため、開業当初の集客にさえ力を入れていれば、空中店舗でも問題ないケースが多いです。
まとめ
ここまで、空中店舗の居抜き物件で集客するための戦略を中心に見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
空中店舗は物件数も多く、路面店と比べると賃料も安い傾向にありますが、飲食店の経営に成功できるかどうかはまた別の話です。
しっかりとした集客戦略を立て、なおかつ最初から集客に有利な建物を選んでおかなければ、早期の廃業も十分考えられるため、注意してください。