コスト削減、スムーズな開業を目指し、飲食店の居抜き物件を探している方も少なくないかと思います。
しかし、居抜き開業にはトラブルのパターンがいくつか存在し、特に引き渡し時にトラブルが発生するケースは多いです。
今回は、居抜きでの飲食店引き渡しでよくあるトラブルと対策について解説します。
居抜きでの飲食店引き渡しでよくあるトラブル3選
以下のトラブルは、居抜きでの飲食店引き渡しでよく見られるパターンです。
これから居抜きでの開業をしようと考えている方は、事前に把握しておきましょう。
・排水管関連のトラブル
・ゴミ関連のトラブル
・近隣住民に関するトラブル
排水管関連のトラブル
居抜きでの飲食店引き渡し時には、排水管関連のトラブルがよく起こります。
具体的には、引き渡し時にあらためて設備を確認したときに、排水管の詰まりが発覚するというケースです。
本来、シンクと排水管の間には、グリストラップという装置が付けられています。
こちらは、油脂や残飯、野菜くずなどが直接下水等に流出することを防ぐため、業務用の厨房に設置が義務付けられている装置です。
一般的には3つの槽に分かれていて、第1槽のバスケットで生ゴミや残飯を受け止め、第2槽で油脂分を水面に浮かせ、第3槽で油脂分や沈殿物が少なくなった水を下水等に排水します。
しかし、飲食店の中には、グリストラップを装着せずに営業しているところがあり、このような物件では当然排水管が詰まりやすくなります。
また、営業中はお湯や水が流れていたため詰まっていなかったものの、閉店から引き渡しまでの間に、水管内の水が蒸発したことが原因で、油脂分が固着し詰まってしまうことも考えられます。
このような事態を防ぐためには、まず内見時におけるグリストラップのチェックが絶対条件です。
もし、より確実に排水管の詰まりを回避したいのであれば、前店舗の経営者に対し、引き渡しの条件として、あらかじめ排水管の高圧洗浄を提示しておくのもおすすめです。
高圧洗浄には数万円程度のコストがかかりますが、原状回復でスケルトンに戻すよりはかなり安く済むため、前経営者の同意は得やすいです。
ゴミ関連のトラブル
居抜きでの飲食店引き渡しでよくあるトラブルには、ゴミ関連のトラブルも挙げられます。
居抜きという選択肢は、物件を引き継ぐ方だけでなく、引き渡す方にとってもメリットのあるものです。
スケルトン状態にする手間やコストを抑えながら、短期間で物件を退去することができるからです。
しかし、居抜きでの引き渡しを行う方、つまり前経営者の中には、居抜きというものを少し勘違いしている方もいます。
具体的には、以下のような考え方を持っている方です。
・一切掃除をせずに引き渡しても良い
・ゴミを袋に詰め込んでおけば、店内に放置していても良い
このような間違った考え方の前経営者にあたってしまうと、居抜き物件を引き継ぐ側の方は、まず清掃やゴミの片付けから始めなければならず、体力も時間もロスしてしまいます。
そのため、このような状況を回避するために、契約時点で引き渡し時の状態を文書に残しておきましょう。
例えば、以下のような内容は必ず記載しておくべきです。
・不要なゴミはすべて前経営者が処分した状態
・グリストラップは油分やゴミを除去して洗浄した状態
・排水管は高圧洗浄済みの状態 など
近隣住民に関するトラブル
居抜きでの飲食店引き渡し時には、近隣住民に関するトラブルも起こりがちです。
前経営者との間に起こるトラブルに関しては、前述の通り前もって対策を取ることが可能ですが、近隣住民とのトラブルは避けるのが非常に難しいです。
つまり、前経営者が近隣住民とトラブルを起こしていた場合、基本的にはその内容を引き継ぐことになってしまうということです。
特に多いのは、近隣住民から「調理中のニオイや煙が気になる」「客の声が騒がしい」といったクレームが継続的に入っているというケースです。
居抜き物件の引き渡しが完了し、いざ開業となったタイミングでこのようなクレームが入った日には、たまったものではありません。
そのため、居抜き物件に入居する前に、両隣の建物に居住している方のもとを訪ね、トラブルがなかったかどうか聞き込みを行うことをおすすめします。
時間や体力、ある程度のコストも必要になる、至ってアナログな方法ではありますが、こちらの聞き込みには、前店舗の繁盛具合や評価などもあわせて知ることができるというメリットがあるため、実施して損はないと言えます。
居抜き物件での飲食店開業は、通常の飲食店開業よりもコストを削減することができるため、その分こちらの調査にコストを費やすべきだと言えます。
まとめ
ここまで、居抜きでの飲食店引き渡しでよくあるトラブルとその対策を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
居抜き物件だけに限らず、飲食店を開業する場合、前もって知識を得た上で対策を取らなければ、さまざまなトラブルに巻き込まれてしまいます。
逆に、対策を取っていればスムーズな開業が実現できる可能性は高くなります。