飲食店を開業するにあたって、立地は非常に重要な要素です。
また、一般的に“良い立地”と聞くと、都市部や繁華街、駅チカといったエリアのイメージが強いですが、あえて郊外の居抜き物件で飲食店を開業することには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
詳しく解説します。
郊外の定義
まずは、郊外という立地の定義について解説します。
郊外とは、都市部に隣接したエリアのことをいい、言い換えると都心へのアクセスが良好な住宅地を指しています。
その他、駅から近いエリア以外では、毎日の生活に車が必要であったり、治安が良く閑静な住宅街が多かったりといった特徴があります。
郊外の居抜き物件で飲食店を開業するメリット
郊外エリアの居抜き物件で飲食店を開業するメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・賃料が割安
・人件費が抑えられる
・口コミが広がりやすい
・販売促進費がかかりにくい
賃料が割安
郊外は都市部に比べて坪単価が低く、居抜き物件の賃料も割安な傾向にあります。
場合によっては、都心部の半分以下にまで賃料を抑えながら、同規模の物件で飲食店を開業できる可能性もあります。
賃料は飲食店を経営する限りかかり続けるランニングコストであるため、こちらが大幅に節約できるというのは大きなメリットだと言えます。
人件費が抑えられる
郊外の居抜き物件で飲食店を開業すれば、人件費もある程度抑えることができます。
なぜなら、郊外は都市部よりも最低賃金が低いケースが多いからです。
たとえ10円、20円の差であっても、1ヶ月や1年といった長いスパンで見れば、郊外の方が従業員に支払う給与は大幅にカットすることができます。
口コミが広がりやすい
冒頭で触れたように、郊外は多くの住宅が建ち並ぶエリアです。
そのため、飲食店のターゲットは、必然的に周辺の住宅に住む方となります。
また、周辺の住宅に住む方は、ある程度コミュニティを形成している可能性が高く、料理の美味しさや料金の安さといった点が1人の来客に伝われば、そこから口コミが一気に広がることも考えられます。
販売促進費がかかりにくい
郊外の居抜き物件で飲食店を開業するメリットとしては、販売促進費がかかりにくいということも挙げられます。
先ほどの続きのようになりますが、郊外は周辺の住宅に住む方がメインターゲットになるため、それほど広範囲に店舗の広告宣伝を打つ必要がありません。
また、一度固定客がつくと、大規模な人口流出がない限り、経営を安定させることができる可能性も高いです。
郊外の居抜き物件で飲食店を開業するデメリット
一方で、郊外の居抜き物件で飲食店を開業することには、以下のようなデメリットもあります。
・見込み客が少ない
・大口顧客を集客しにくい
・歴史の古い競合店が強い
・駐車場が必須
見込み客が少ない
郊外の居抜き物件で飲食店を開業するデメリットとしては、まず都市部などに比べて見込み客が少ないことが挙げられます。
例えば、都市部でなおかつターミナル駅に近い立地には、そのエリア周辺に住む方だけでなく、周辺で働く方、駅を利用する方など、多くの見込み客が存在します。
一方、郊外は前述の通り、周辺に住む方が主な見込み客であり、競合に勝たなければ売上は伸びず、すぐに廃業してしまう可能性もあります。
大口顧客を集客しにくい
郊外には、都市部のような規模の大きな会社などがほとんどありません。
そのため、複数人で訪れる大口顧客の集客は難しくなります。
もちろん、学校の近くなどであれば、多くの学生を顧客として取り込める可能性がありますが、アルコールをメインに提供する飲食店など、業態によってはこのような立地でも苦戦することが予想されます。
歴史の古い競合店が強い
郊外では、歴史が古く、長い間そのエリアで愛され続けている飲食店が競合店になるケースが多いです。
また、このような飲食店は、すでに周辺に住む多くの方を固定客として獲得しているため、同業態で勝負すると不利になります。
そのため、業態やメニュー、料金設定や付帯サービスに工夫を凝らすなど、歴史の古い競合店に負けないための戦略を立てる必要があります。
駐車場が必須
郊外の居抜き物件で飲食店を開業する場合、駐車場付きであることは絶対条件です。
郊外には、車を主な移動手段としている方も多く、ファミリー層も多く居住しているため、駐車場がないと顧客の選択肢から外されてしまいます。
ちなみに、郊外の駐車場付き居抜き物件は、駐車場なしの居抜き物件よりも賃料が高かったり、メンテナンスの手間やコストがかかったりすることが考えられます。
まとめ
「居抜きで飲食店を開業するなら、絶対に都市部が良い」と考えている方は、一度視野を広げてみましょう。
郊外の居抜き物件であっても、うまく立ち回れば十分な売上を実現できます。
もちろん、都市部と比べて劣っている点もありますが、どのようなエリアにも多少のデメリットはあるため、デメリットとはうまく付き合っていくことを考えるのが正解です。