定食屋は、さまざまな種類の料理が提供されていることもあり、現在も今後もある程度の需要が見込めます。
しかし、競合の激しいマーケットでもあるため、開業の際には資金繰りや経営戦略のミスを極力減らし、他店をリードする必要があります。
ここからは、定食屋の開業に必要な資金とコンセプト決めなどについて解説します。
定食屋の開業に必要な資金
定食屋を開業するにあたって必要な資金とその目安は以下の通りです。
・物件取得費
・内装費
・設備費
物件取得費
定食屋を開業する際は、必ず物件取得費がかかります。
具体的には、賃料と保証料、仲介手数料が必要になり、保証料は賃料の半年分、仲介手数料は賃料の1ヶ月分を前払いするというケースが多いです。
例えば、賃料30万円の物件を借り入れるのであれば、賃料30万円、保証料180万円円、仲介手数料30万円の合計240万円程度を入居時に支払います。
内装費
後ほど解説しますが、定食屋にはさまざまなコンセプトが存在し、どれを選ぶかによって内装費用は変わってきます。
ただ、目安としてはいずれのコンセプトでも数十万円程度であり、居抜き物件で開業する場合は、10～20万円ほど内装費用を削減できる可能性があります。
設備費
定食屋を開業する際は、営業するのに必要な設備の設置費用もかかります。
一般的に、定食屋はオーソドックスな厨房での営業が可能なため、数十万円程度の資金で厨房設備は揃うと考えておきましょう。
ただし、券売機を導入する場合は、新品の場合で50～200万円程度の費用が上乗せされるため、最初から設置されている居抜き物件を探すことも検討すべきです。
また、定食屋はさまざまなメニューを提供しているため、皿のバリエーションを増やす必要があり、こちらにかかる費用も設備費としてカウントされます。
定食屋開業時のコンセプト決めについて
定食屋の開業時には、あらかじめコンセプトやターゲットを決定し、それに沿って物件のタイプ、立地を選定することが重要になります。
主なコンセプトは以下の通りです。
・大衆店
・高付加価値型店
・郊外型店
大衆店
大衆店は、いわゆるもっともポピュラーな定食屋で、比較的安価で料理を提供することが多いです。
そのため、近隣のサラリーマンや学生などがターゲットになります。
また、大衆店の定食屋では、男性客を意識し、料理の盛り付けを多めにする店舗がよく見られます。
高付加価値型店
高付加価値型店は、一般的な大衆店とは違い、健康に気を遣う女性、中高年層などをターゲットにしています。
そのため、定食屋ではあるものの、雰囲気はカフェに近いです。
特徴としては、食材や調理法、セット内容などにこだわっていること、女性を意識してデザートを充実させていることなどが挙げられ、客単価は大衆店よりも少し高めです。
また、ある程度内装費を費やし、デザインにこだわるケースも多いです。
郊外型店
郊外型店は、郊外のロードサイドに大きめの物件（30～40坪程度）で開業する定食屋です。
車で訪れる個人客、ファミリー層をターゲットとしているため、広めの駐車場と客席が必要です。
また、店舗によっては、ビュッフェ形式で自由におかずを選べる形態のところもあります。
定食屋を開業するメリット・デメリット
では、数ある飲食店の中から、定食屋を選んで開業することには、一体どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか？
それぞれ詳しく見てみましょう。
メリット
定食屋開業の主なメリットは以下の通りです。
・小規模でも開業できる
・固定客を作りやすい
・テイクアウトも可能
大衆店や高付加価値型店の定食屋は、カウンターのみの小規模な店舗でも開業できます。
このとき、居抜き物件を選ぶことで、さらに少ない資金での開業も可能になります。
また、ビジネス街や学生街など、立地を選んで開業すれば固定客は作りやすくなりますし、店舗で提供するのと同じ内容のメニューをテイクアウトでも販売できます。
デメリット
一方、定食屋の開業には以下のようなデメリットもあります。
・営業時間が短い
・周辺環境の影響を受けやすい
定食屋は他の飲食店と比べて、比較的営業時間が短いです。
こちらは、夜の時間帯よりも昼の時間帯に客足のピークが来やすいことが理由です。
もちろん、アルコールや居酒屋メニューなどを提供すれば、ある程度夜でも集客が見込めますが、学生街などの立地ではその効果もあまり大きくありません。
また、定食屋は周辺で働くサラリーマン、周辺に住む学生などがメインターゲットになることが多く、企業の倒産や移転、学校の廃校といった周辺環境の影響を受けやすくなります。
まとめ
ここまで、定食屋の開業資金やコンセプト決め、開業のメリット・デメリットを見てきましたが、いかがでしたでしょうか？
コンセプトによっては、少ないコストで開業できるのが定食屋の良さであり、一度周辺のターゲットを取りこむことができれば、経営は軌道に乗る可能性が高いです。
しかし、冒頭で触れたように競争は激しいため、そこから抜け出すための知識や工夫は必要不可欠です。
