店舗の居抜き売却を検討しているオーナーの中には、具体的にどのような手続きを踏み、売買を成立させれば良いのかについて、まだ把握していない方もいるでしょう。
居抜き売却時の手続きには、押さえておくべき細かいポイントがいくつもあるため、この機会にぜひ学んでいただきたいと思います。
居抜き売却の査定に準備すべきものは?
店舗の居抜き売却を行う際には、専門の不動産会社、あるいは売買実績が豊富な不動産会社に相談し、造作の査定をしてもらうのが一般的です。
また、このときには、以下のような書類を準備しておくことをおすすめします。
・賃貸借契約書
・平面図
・リース償還表
・リース契約書控え
これらの書類があれば、不動産会社は造作価格の査定がしやすく、売主は信憑性の高い査定価格を算出してもらえるため、今後の売買におけるプランが立てやすくなります。
管理会社や貸主への解約通知における注意点は?
店舗を居抜き売却する場合、当然売主はその物件から退去することになるため、管理会社や貸主に賃貸借契約の解約通知を行わなければいけません。
売却先がまだ決定していない場合での解約通知は、解約期限を設けることになり、解約期限が訪れれば、当然現契約に従い、原状回復義務の履行を求められます。
また、造作譲渡先を貸主や管理会社が認めてくれないケース、新賃借人に対して賃貸条件が変更になるケースなどもあり、この場合は売主の計算が狂ってしまう可能性があるため、注意しなければいけません。
居抜き売却を行いたい旨については、かなり早い段階で物件の貸主や管理会社に相談しておくことをおすすめします。
居抜き売却前には、リフォームを実施した方が良い?
店舗の居抜き売却を行う場合、事前にリフォームを施し、物件の状態を良くした上で売却した方が、売買代金も高くなるというイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、居抜き物件は、一概にキレイだから、あるいは豪華だから高く売却できるというわけではありません。
また、店舗の内装や設備の価値に関しては、買主の感覚に委ねられる部分が多く、前もって費用を費やし、リフォームをすることはおすすめできません。
なぜなら、リフォームをしたことでかえって評価が下がってしまったり、思いの外売買代金が高くならず、リフォーム費用を回収できなくなったりするリスクがあるからです。
居抜き売却時には、どこまで物を置いていけば良い?
居抜き物件という言葉には、実は明確な定義が存在しません。
ほぼスケルトン状態で、わずかな残置物があるだけの物件も、明日からすぐ営業できるくらい内装、設備などが整った物件も、どちらも居抜き物件に該当します。
ただし、どこまで物を置いていくかについては、事前にリストアップし、買主と確認を行っておくことをおすすめします。
また、店舗の明け渡し前に、サーバーやショーケース、ホットボックス等のリース品・レンタル品、生ものや廃棄物などは、各業者に回収してもらわなければいけないため、こちらの手続きも忘れないようにしましょう。
破損している設備も売却できる?
破損している設備に関しては、そのまま売却してはいけません。
売買対象から除外し、買主に対して故障している旨をきちんと伝えておきましょう。
ちなみに、もし居抜き売買の成立後に、設備の故障が発覚した場合、売買契約の目的が達成できていないため、売主は契約不適合責任に問われてしまいます。
設備に不備がある場合、そのまま売却できる?
例えば、居抜き売却の対象物件において、厨房の水漏れが発生しているとします。
このような場合でも、不具合について、売主と買主が共有し、双方が合意の上であれば、そのまま物件を引き渡すことは可能です。
ただし、水漏れや設備の不具合は、引き渡し後のトラブルに発展することが多いため、可能であれば引き渡しまでに修繕しておくことをおすすめします。
また、厨房設備や造作したものの不備であれば、売主が負担の上で修繕するのが一般的ですが、上階からの水漏れや、共有部分にある配管など、不具合の原因が売主の管理範囲外のものについては、どのように引き渡すのかをしっかり共有しておく必要があります。
レシピやノウハウだけを売却することはできる?
店舗の居抜き売却ではなく、店舗におけるレシピやノウハウだけを売却することも不可能ではありません。
ただし、店舗の居抜き売却をするケースに比べて、購入希望者は圧倒的に少なくなります。
ちなみに、このような店舗の居抜き売却ではない場合でも、実績のある不動産会社に相談すれば、対象となる資産に合った評価方法などを提案してもらえる可能性があります。
まとめ
ここまで、居抜き売却時の手続きに関するポイントについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
居抜き売却では、買主や物件の貸主、管理会社、仲介する不動産会社など、さまざまな人物、業者と接することになります。
そのため、うかつな行動がトラブルに発展する可能性が高く、売主は前もって正しい知識を持ち、確実に手続きを進めていかなければいけません。