居抜きで開業する店舗は、必ずしも飲食店であるとは限りません。
美容院やネイルサロンといった美容系の店舗も、設備や什器が残った居抜き物件で開業されるケースはよく見られます。
今回は、居抜き物件で美容院をオープンする際、必ずチェックすべきポイントについて解説したいと思います。
居抜きで美容院を開業する際のチェックポイント5選
冒頭で触れたように、居抜きで美容院を開業するケースは非常に多いです。
皆さんも、美容院が閉店した後、同じ物件で別の美容院がオープンしたというケースは、一度くらい見たことがあるでしょう。
また、美容院の居抜き開業を目指す方がチェックすべき物件のポイントとしては、主に以下のことが挙げられます。
・空調
・水道、給排水設備
・給湯設備
・美容関連設備
・その他の設備
空調
美容院は、来客に対しヘアカットやヘアカラー、パーマといったメニューを提供する場所です。
また、顧客は長時間店舗に滞在するため、快適に過ごしてもらうための環境を整える必要もあります。
よって、居抜き物件をチェックする際は、空調設備の劣化具合やパワーなどを必ず確認しておきましょう。
たとえ、すでにエアコンが設置されていたとしても、劣化によりパワーが落ちていたり、広さに対して設置台数が足りていなかったりすると、設置工事費がかかり、居抜き開業のメリットが半減してしまいます。
ちなみに、居抜き物件に設置された空調設備がオーナーの所有物である場合、故障時には修理などの費用を負担してもらえる可能性があります。
水道、給排水設備
美容院はシャンプーなどのサービスを行うため、水の消費量も多いです。
また、物件に引き込まれている水道管が劣化していると、水圧が弱くなり、シャンプーが十分に実施できない可能性があるため、注意しましょう。
もし、居抜き開業後に水圧の弱さに気付いてしまったら、水道管の組み換え工事を実施しなければいけません。
こちらの費用は非常に高額であり、場合によっては100万円以上の支出になることも考えられるため、現況のまま使用できるかについては、必ず確認してください。
給湯設備
先ほども触れたように、美容院はシャンプーをサービスとして提供します。
そのため、当然水だけでなく、お湯も使用します。
また、美容院の居抜き物件に設置されている給湯設備の多くは、業務用の瞬間湯沸かし器ですが、ボイラーが設置されているケースもあります。
これらの給湯設備には大きな違いがあるため、双方のメリット・デメリットを事前に把握しておき、自身の考えに合った方を選んでください。
ちなみに、業務用湯沸かし器とボイラーのメリット・デメリットはそれぞれ以下の通りです。
メリット | デメリット | |
業務用湯沸かし器 | ・小規模の店舗でも設置しやすい ・修理費用、交換費用が安い |
・水圧が弱いと安定したお湯が出ない ・お湯が出るまでのタイムラグが出やすい ・捨て水が発生する |
ボイラー | ・安定した水圧が確保される ・すぐにお湯が出る ・捨て水が少ない |
・購入費用が高額 ・屋外または屋内にある程度の設置スペースが必要 |
美容関連設備
美容院の経営には、美容院ならではのさまざまな関連設備が必要です。
よって、以下のような設備ができるだけ多く揃っている居抜き物件を選ぶことで、開業コストはかなり節約できます。
・シャンプー台
・スタイリングチェア
・鏡
・パーマ機器
・パーマロッド
・カラー用の加湿器
・ドライヤー
・ヘアアイロン
・タオル蒸し器
・紫外線消毒器 など
シャンプー台は、高いものだと1台でも100万円近くすることがありますし、パーマ機器も数十万円程度かかる可能性があります。
そのため、残っているか残っていないかでは、居抜き開業にかかる費用が大きく変わってきます。
その他の設備
美容関連機器だけでなく、パソコンや洗濯機などの設備があるかどうかも、居抜き物件をチェックする際には見ておきましょう。
特にパソコンは、来客の情報を管理したり、店舗の情報を発信したりするにあたって必要不可欠なものです。
美容関連設備とあわせて、こちらがそのまま使えるような状態であれば、かなりスムーズに経営をスタートできるでしょう。
美容院の居抜き開業における注意点
こちらは美容院だけに限ったことではありませんが、コストを節約するため、居抜き物件を探しているにもかかわらず、なかなか希望の物件が見つからないという場合は、一度スケルトン物件も選択肢に入れてみましょう。
なぜなら、居抜き物件を何箇所か工事するケースと、スケルトン物件を一から工事するケースを比べたときに、それほどコストの差がない可能性があるからです。
つまり、居抜き物件にこだわり、それを理想の物件に近づけるよりも、自由度の高いスケルトン物件を選んだ方がお得になるケースもあるということです。
まとめ
ここまで、美容院の居抜き開業を行う際、必ずチェックすべきポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
美容院は必要な設備が多いため、状態の良い設備がより多く揃っていれば、かなり効率良く開業することができます。
ただし、物件を選ぶ際は、設備の数だけでなく、種類や容量、劣化具合もしっかりチェックしなければいけません。