蕎麦屋と聞くと、何十年も営業されているような老舗をイメージする方も多いかもしれませんが、当然中にはオープンしたばかりの店舗もあります。
趣味の蕎麦打ちが高じて、店舗の開業を決心するという方も少なくありません。
今回は、蕎麦屋開業の一般的なスケジュールとポイントについて解説します。
蕎麦屋開業の一般的なスケジュール
まずは、一般的にどのようなスケジュールで蕎麦屋が開業されるのかについて見ていきましょう。
時期ごとに実施すべき項目は主に以下の通りです。
時期 実施項目
1年~6ヶ月前 ・コンセプト決定
・物件探し
・事業計画書作成
・資格取得
6~3ヶ月前 ・物件契約
・内装計画
・資金計画および調達
・蕎麦づくり学習
3ヶ月前 ・設備発注
・メニュー設定
・仕入れ先探し
2ヶ月前 ・工事着工
・広告宣伝
・従業員募集
1ヶ月前 ・営業許可申請
・保健所検査
・従業員教育
10日前 ・厨房機器、インテリア搬入
・開業前シミュレーション
では次に、それぞれの時期においてもっとも重視したい項目について解説します。
1年~6ヶ月前
開業の1年~6ヶ月前に重視したい項目は、コンセプト決定と物件探しです。
本格的な蕎麦を味わえる蕎麦屋にするのか、若い方でも通いやすいようなカジュアルな蕎麦屋にするのかを決定するだけでも、今後の方向性はかなり変わってきます。
また、立地選びや物件探しに関しても、コンセプトを考慮した上で行わなければいけません。
6~3ヶ月前
開業まで6~3ヶ月の時期には、物件契約や内装計画など、重要な実施項目が数多くありますが、やはり注力すべきなのは、蕎麦づくりを学ぶことでしょう。
独学で学ぶのも良いですが、基礎をしっかり身に付けたいという方は、老舗の蕎麦屋や専門学校で学ぶことも検討してください。
3ヶ月前
開業まで3ヶ月の時期にもっとも重視すべきなのは、メニュー設定です。
後述しますが、単純に美味しい蕎麦を提供するだけでなく、メニューに工夫を凝らさなければ、人気店を作り上げるのは難しいです。
2ヶ月前
開業まで2ヶ月の時期には、内装計画に沿った工事が着工されます。
こちらは工事業者が実施するものですが、意思疎通がうまくできていない場合、イメージと違う内装が出来上がる可能性もゼロではありません。
そのため、物件にはこまめに足を運び、進捗具合をチェックすることを強く意識しましょう。
1ヶ月前
開業まで1ヶ月を切ったタイミングでは、各種申請を手短に済ませ、従業員の教育に力を入れましょう。
蕎麦屋のメニューや店舗のレイアウトによっては、接客マニュアルが複雑化することも考えられるため、教育にじっくり時間を費やすのは大切です。
10日前
開業まで10日の時期に重視したいのは、開業当日のシミュレーションです。
開業当日、調理や接客でミスが生じると、早速固定客を獲得するチャンスを逃してしまうため、注意してください。
蕎麦屋開業のポイント
これから蕎麦屋を開業する方に押さえてもらいたいポイントは、主に以下の通りです。
・メニューについて
・レイアウトについて
・営業時間について
メニューについて
蕎麦屋のメニュー内容は、一工夫を凝らして個性を出すことが大切です。
例えば、基本である“もりそば”や“ざるそば”などのランクアップ、器、盛り付け、価格等で他店との差別化を図ったり、季節ごとの種物やセットメニュー等で、新規顧客と固定客の両方に対応したりすることを意識しましょう。
また、蕎麦のヘルシーさを強調し、女性にアピールするのも効果的です。
蕎麦が健康食品であることを知らない女性は意外と多く、サラダ蕎麦を提供したり、使用するドレッシングにこだわったりすることで、良いアピールができます。
ちなみに、女性向けのセットメニューに関しては、少量かつ多めの品数にすることを意識してください。
レイアウトについて
蕎麦屋のレイアウトでは、効率的に従業員が動きやすい動線を確保しなければいけません。
また、4人掛けテーブルだけでなく、可動式2人掛けテーブル、1人客の相席用変形大テーブルなどを複合的に導入すれば、客席の雰囲気作りに活かすことができます。
営業時間について
蕎麦屋の営業時間は、他の飲食店と比べて比較的短いケースが多いです。
なぜなら、あくまでお酒ではなく食事がメインであるからです。
ただし、アルコールを好む層の集客が見込める立地なのであれば、わざわざアルコールの提供を控え、営業時間を短くする必要はありません。
ちなみに、深夜0時以降にアルコールを提供するのであれば、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を提出する必要があります。
また、アルコールを提供する場合、おつまみメニューをある程度揃えておくことも考えましょう。
まとめ
ここまで、蕎麦屋開業の一般的なスケジュール、押さえておきたいポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
蕎麦屋はそれほど営業時間が長くなく、油や煙、ニオイなども出にくいため、物件のオーナーが開業を嫌がるケースは少ないです。
よって、開業まではトラブルなく進むことが多いため、しっかり準備をして、開業後の経営を軌道に乗せられるようにしましょう。