店舗開業を目指す方の中には、地元の方に愛されるベーカリーをオープンしたいと考える方もいるかと思います。
エリアを問わず、人気のベーカリーは必ずと言って良いほどあるものです。
ここからは、ベーカリーの居抜き開業におけるポイントを中心に解説したいと思います。
ベーカリーの概要
ベーカリーは、主にパンや焼き菓子などを製造し、販売する店舗です。
英語ではBakeryと表記され、Bakeには“焼く”という意味があります。
ちなみに、ベーカリーはパンや焼き菓子の“製造販売店”を指しているため、製造を行わず、仕入れ販売のみを行っている店舗は、厳密にはベーカリーに該当しません。
ベーカリーを居抜き開業する立地選びのポイント
ベーカリーを居抜き開業する場合、大体は駅前もしくは住宅街の物件を選ぶことになります。
駅前の居抜き物件の場合、駐車場は特に必要ありません。
一方、住宅街でベーカリーを居抜き開業する場合、少なくとも駐車場が10台ほど確保できる物件を選んだ方が、安定した集客が期待できます。
また、ベーカリーは決して客単価が大きい店舗ではありません。
そのため、居抜き物件の賃料、駐車場代は、月の売上の5~10%に収めることを心掛けましょう。
ベーカリーの居抜き物件に必要な設備
ベーカリーを居抜き開業する場合、他の業種には不要な設備を数多く揃えなければいけません。
具体的には、以下のような設備です。
・ベーカリーオーブン
・ショーケース
・ドゥコンディショナー
ベーカリーオーブン
ベーカリーオーブンとは、その名の通り製パン・製菓に使用するオーブンのことで、もっとも多いのは“平窯”あるいは“固定窯”とよばれる業務用のオーブンです。
どれも同じものを指す呼び方で、焼成室(炉)が上下に重なった位置に配置されていて、なおかつ焼成室が2つのものを“2段窯”、3つのものを“3段窯”といいます。
また、フランスパンなどを焼く際にはスチーム焼成が必要になりますが、ベーカリーオーブンにはこちらが可能なものとそうでないものがあります。
そして、最近ではスチームコンベクションオーブンが使用されるベーカリーも増えてきています。
食パンや菓子パン、ハード系のパンなど、ベーカリーで焼成するほとんどのパンは、スチームコンベクションオーブンで作ることが可能です。
ベーカリーを居抜きで開業する際は、どのようなパンや焼き菓子を作りたいのかをしっかりと明確にし、上記のようなベーカリーオーブンが残っている物件を選びましょう。
ショーケース
ショーケースとは、製造したパンや焼き菓子を並べるガラス張りの陳列棚のことをいいます。
こちらが残っている居抜き物件を選ぶ場合は、まずどれくらい商品を陳列できるのかをチェックしなければいけません。
また、来客側から見やすい造りになっているか、陳列や手入れが容易にできるかどうかも、確認するポイントです。
ちなみに、ベーカリーにおいて、サンドウィッチやハンバーガーなどを販売する場合は、最適な温度をキープできる冷蔵ショーケースも必要になります。
ドゥコンディショナー
ドゥコンディショナーとは、前日に成型された生地を冷凍または冷蔵し、プログラムによって解凍、予熱、ホイロの工程を自動化してくれる設備をいいます。
こちらが残っている居抜き物件を選ぶことで、朝早いベーカリーの仕事はかなり軽減されます。
また、数種類の成型生地をセットしておけば、開店時からバリエーション豊富な品揃えが可能です。
もちろん、ドゥコンディショナーの各機能は単独でも使用できるため、日中はホイロや生地の一時保管庫としても利用できます。
パン屋の居抜き開業におけるその他のポイント
冒頭でも少し触れたように、都市部・地方を問わず、人気のベーカリーというのは各エリアに存在するものです。
また、ベーカリーは同じような立地に集まることも多く、パンや焼き菓子はスーパー、コンビニなどでも販売されています。
つまり、競合店が多い業種だということです。
そのため、他との差別化を図らなければ、生き残るのは難しくなります。
差別化を図るためには、まず出店を考えているエリアの情報を調べましょう。
最初は、小さい店舗が多いのか、それとも大きい店舗が多いのか調べるところから始めます。
さらに、それぞれのベーカリーの開店時間と閉店時間、パンや焼き菓子の種類や数、焼き上がり時間、主力商品、地域の評価や口コミ、来客層など、細かいデータをすべて収集します。
これだけの情報が集まれば、差別化を図るにあたって何をすべきなのかが自ずと見えてきます。
ちなみに、スーパーやコンビニが近くにある場合は、そちらのパン、焼き菓子の種類や価格帯についてもチェックしておかなければいけません。
まとめ
ここまで、ベーカリーの居抜き開業におけるポイントを一通り解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
設備の揃った居抜き物件でベーカリーを開業すれば、大幅にコストを削減することができます。
しかし、立地選びを間違ったり、差別化するための情報収集が不十分だったりすると、経営がうまくいかない可能性があるため、注意してください。