日本の伝統的な料理を提供する和食料理店は、老舗が多いイメージがありますが、もちろん居抜き物件で新規開業することも可能です。
では、和食料理店を居抜き開業する際には、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか?
ここからは、和食料理店にカテゴライズされる店舗の居抜き開業について解説します。
和食料理店に該当する飲食店の種類
今回和食料理店としてピックアップする業態は、以下の3つです。
・寿司店
・蕎麦店
・うどん店
では次は、これらの店舗における居抜き開業のポイントを見ていきましょう。
寿司店
寿司は和食を代表する料理であり、日本人だけでなく海外の方にも絶大な人気を誇っています。
寿司店といえば、職人が目の前で握る店舗、回転寿司の2パターンが挙げられますが、どちらを選ぶかによって、価格帯や適した物件は大きく変わってきます。
カウンターメインで職人が握るタイプの寿司店は、比較的居抜き開業がしやすい業態だといえます。
なぜなら、小料理屋や居酒屋などの居抜き物件であっても、イニシャルコストを抑えながら開業できるからです。
一方、回転寿司店は、回転寿司店の居抜き物件を選ばなければ、大規模な工事が必要になるケースが多いです。
こちらの主な理由としては、回転寿司店に欠かせないレーンを設置する必要があるからです。
また、どちらのタイプの回転寿司店を開業する場合でも、必ずチェックしなければいけないポイントがあります。
それは、冷蔵・冷凍設備が整っているかどうかという点です。
寿司店は生ものを扱う業態であるため、何よりも温度管理が重要です。
そのため、例えば冷凍ストッカーであれば、超低温冷凍ができる機能が付いているかなど、細かい点をチェックしなければいけません。
蕎麦店
蕎麦も、代表的な和食の1つです。
蕎麦店の中には、回転率を重視した立ち食い蕎麦店もあれば、蕎麦以外のおつまみメニューも充実させた居酒屋も兼ねている店舗などもあります。
また、前者の場合、その居抜き物件のオーナーからは高評価を得やすくなります。
なぜなら、ほとんど蕎麦のみを提供する店舗の場合、油や煙、ニオイはほとんど出ませんし、夜遅くまでの営業もしないケースが多いからです。
逆に、居酒屋を兼ねているような蕎麦店は、調理の汚れやニオイ、深夜の騒音などを危惧され、オーナーに開業を反対されるケースもあるため、注意しましょう。
ちなみに、蕎麦店を開業する居抜き物件を選ぶ際は、なるべく前店舗も蕎麦店だった物件を選ぶべきです。
理由としては、蕎麦店では店舗で蕎麦打ちをする製麺機、茹で麺器など、特殊な機器を使用するケースが多く、これらを一から準備しようとすると、イニシャルコストが大きくなってしまうことが挙げられます。
うどん店
うどんは、世代を問わず幅広い人気のある和食です。
しかし、実はうどんを専門に扱ううどん店の絶対数は、それほど多くありません。
そのため、居抜き物件を探す場合、なかなか希望エリアでは物件が見つからない可能性があります。
ただし、うどん店を経営する場合、うどんの麺を打つスペースが必要になりますし、調理のための厨房スペースも必要です。
これらの設備を一から準備すると、かなりのコストがかかってしまうため、なかなか見つからなかったとしても、根気強く居抜き物件を探すことをおすすめします。
また、うどん店の居抜き開業を目指す場合、どのような客層をターゲットにするのかがとても重要です。
例えば、サラリーマンをターゲットにするのであれば、平日のランチタイムが忙しくなると想定されるため、できるだけ回転率の良いメニューを提供できるシステムが必要となります。
具体的には、カウンター席や2人掛けのテーブルを用意することで、効率的な集客が見込めます。
一方、ファミリー向けのうどん店を開業するのであれば、駐車場完備で、なおかつ広々とした店内、客席の居抜き物件を選ばなければいけません。
和食料理店全般における居抜き開業のポイント
最後に、すべての和食料理店に当てはまる居抜き開業のポイントについて解説します。
和食料理店は、魚をさばいたり、麺の湯切りをしたりすることが多いため、床の防水機能が非常に重要です。
しかし、小料理店などの居抜き物件では、防水処理が行われていないこともあるため、物件選びの際は注意しなければいけません。
また、和食料理店の厨房機器の多くは、ほとんどの業態においてそのまま使用できるものが多いです。
ただし、一通り揃っているからといって安心していると、入居後に前入居者に撤去されたり、不具合が生じていたりする可能性もあるため、1つ1つの設備については丁寧にチェックしなければいけません。
まとめ
和食料理店と一口にいっても、その種類によって居抜き開業のポイントは大きく変わってきます。
ちなみに、前述したもの以外にも、天ぷら店やうなぎ店、丼ものをメインとする店舗など、和食料理店に該当する業態はいくつかあります。
これらの居抜き開業におけるポイントも、寿司店や蕎麦店、うどん店などとは異なるため、開業するのであれば、それぞれ1つ1つの特徴を掴まなければいけません。